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特殊相対性理論を宇宙で検証 29

ストーリー by Oliver
エインシュタイン歓喜 部門より

Joga曰く、"CNNの記事によると、宇宙ステーションに極めて精密な原子時計を設置し、アインシュタインの特殊相対性理論を検証しようという試みが計画されている。
特殊相対性理論は広く成り立つことが知られてるが、素粒子物理学などの最新の成果によると、無重量の宇宙空間では必ずしも成り立たないかもしれないということで、宇宙ステーションで検証しよう、という計画のようだ。
宇宙空間では必ずしも成り立たないことが示されてもアインシュタインが間違っていたことにはならないが、このような試みは面白い。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by K_O_ (7268) on 2002年06月06日 17時54分 (#103745)
    http://www.jpl.nasa.gov/releases/2002/release_2002_123.html
    だと思われます。(CNNの記事からでもさっぱりわからなかったんでgoogle検索をかけました。)

    ここの冒頭でも「特殊相対論(special theory of relativity)の破れの検証」と書いてあります。

    しかし、後の方で
    "This would violate Einstein's theory, which says there should be no change if different clocks in the same gravity environment are compared."
    と言ってるんで、これは一般相対論の検証を目指しているようですね。

    ここには論文へのポインタも有りますので興味のある方はどうぞ。
  • 原論文から (スコア:3, 参考になる)

    by locate (5848) on 2002年06月07日 2時48分 (#104011) 日記
    相対論を検証するなんて、あまりにも時代錯誤な記事なので、
    原論文たどってみました。(Phy.Rev.Lett.88,090801(2002))

    論文が言ってること(+自分の解釈)は、ーーーーーーーーー

    国際宇宙ステーションの計画があるのでその中で行う実験を
    考えてみました。その実験とは、ローレンツ変換の破れと、
    CPT変換の破れを検証するものです。

    ローレンツ変換は相対性理論から導かれるものです。
    CPT変換とはある粒子間の相互作用において、その理論中の
    電荷(C)、位置(P)、時間(T)の符号を全て入れ替える変換で、
    現在最も良く使われている理論(標準理論)では、
    ローレンツ変換、CPT変換をしても理論は変化しません。

    しかし、さらに進んだ素粒子理論では、
    プランク質量(2x10^(-5)グラム)程度の質量を持つ素粒子に
    対しては成り立たないと言われています。
    これは、これほど重い粒子の場合には重力の効果も現れてくるため、
    量子力学に一般相対性理論を加えた理論(統一理論)を
    用いなければならないからです。
    統一理論が必要になるのは、このようなプランク質量スケールの
    所ですが、このような重い粒子は今のところ生成できないので、
    これでは理論の実験的な検証が出来ません。
    しかし、この統一理論を用いて計算すると、ある原子における
    電子遷移の時に放出される光の波長が少しだけ変化することが分かっています。
    これはホンのわずかなので、凄い精度で計測すると測定できる
    かもしれません。
    (逆にいうと、このような差は実用上は殆ど問題ない。)
    それで、このような計測のために無重量でかつ長い時間使える
    宇宙ステーションが最適です。
    (終り)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    この実験は、その統一理論の真偽を確かめる実験です。
    相対性理論の適用限界を決める実験と言っても同じです。

    相対性理論が間違っていることを証明する実験ではありません。
    • by kiyotan (3912) on 2002年06月07日 12時08分 (#104139) 日記
      タイトル+アブストを見てみましたが、
      K_O_ さんが別のところでおっしゃってることや、
      locate さんのおっしゃることの前半のような
      ことが書かれてますね。
      (オンラインで論文読めるのかと思ったら
      そうはいかないのね。)
      これを見た時の僕の感想は
      「CPTが破れてたら人類はどうすればいいんだ?」
      って感じなんですが、locate さんのまとめによると
      CPT 破れてる統一理論ってのがあるようですね。
      局所ローレンツ不変性の無い理論とか、
      非局所的相互作用をする理論とかが思い浮かびますが
      そんな感じなんですかね。(因果律とかどうなってんだろ?)
      ついでに驚いたのは、人類(一部の物理学者?)は

      量子力学に一般相対性理論を加えた理論(統一理論)

      を作るのに苦労してるのかと思ってましたが、

      電子遷移の時に放出される光の波長

      なんかまで計算できる理論があるとは知りませんでした。
      すでに、CPT はおいておいても、統一理論があって

      この実験は、その統一理論の真偽を確かめる実験です。

      なんてレベルまで行ってるとは思いませんでした。
      --
      Kiyotan
      親コメント
      • by locate (5848) on 2002年06月07日 12時24分 (#104146) 日記
        >「CPTが破れてたら人類はどうすればいいんだ?」
        > って感じなんですが、

        別に破れてたとしても、それを人類が発見したというだけで、
        これまで宇宙の歴史150億年の間、それで来たわけです。
        別に何も変りません。

        > > 電子遷移の時に放出される光の波長
        > なんかまで計算できる理論があるとは知りませんでした。

        量子力学で計算できます。大学3年生の演習問題に出てきます。
        親コメント
        • by albireo (7374) on 2002年06月12日 8時24分 (#106594) 日記
          >> > 電子遷移の時に放出される光の波長
          >> なんかまで計算できる理論があるとは知りませんでした。
          >
          >量子力学で計算できます。大学3年生の演習問題に出てきます。

          読んだ瞬間は同じ疑問を持ちましたが、どうやらこれは
          「統一理論によって計算できる」という意味のようです。
          正しいかどうかを検証可能な材料を提供できるぐらいに理論が進んでいることに感心しているんでしょう。
          --
          うじゃうじゃ
          親コメント
  • by SteppingWind (2654) on 2002年06月06日 16時41分 (#103697)

    このくらいの精度の観測となると「竜の卵」で紹介されていた潮汐力補正緩衝装置が必要になるんではないでしょうか? 定量的な要請はよく分からないので, どなたか詳しい解説プリーズ.

  • 真っ先に思ったのは、例の「重力は5次元(以上)にしみ出しているかも」という話。
    だとすると破れているのはむしろ「特殊相対性理論」じゃなくて「一般相対性理論」の方じゃないかと思ったりしちゃったりなんかして。
    という疑問も含めて、理論的な話が元ソースからは全く分かりません。誰か教えて。<この態度はどうか。
    --
    -----------------
    #そんなワタシはOS/2ユーザー:-)
    • M理論でしょうか。
      相対論も量子論も究極理論の近似的な理論ってことですよね。

      たしか5次元云々というのは、時空の空間部分の次元が3より大きければ、重力の伝達は3次元の理論値よりも早く減衰するはず、とかいう感じです。その理論値からのずれを確かめられれば、3次元以外の空間の次元が、比較的大きなスケールにコンパクト化されていて、膨大なエネルギーがあれば余次元方向へ移動できるやもしれない、とかいう夢物語もおまけでついています。
      親コメント

      • 素粒子物理学などの最新の成果によると、
        無重量の宇宙空間では必ずしも成り立たないかもしれない

        って一文がさっぱりわからん。
        「などの」とか「無重量の宇宙空間」とかアヤシすぎ。
        brane world の説明にも見えないし。

        #そもそも、「最新の成果」によらなくても
        #相対論的効果が高い精度で成立してると
        #思ってる人って居ないんじゃないかなぁ?
        #↑相対論は所詮古典論って意味でね。

        ##だいたい、一般相対論が必要な領域では
        ##特殊相対論って大域的には破れてるよね。
        --
        Kiyotan
        親コメント
        • by K_O_ (7268) on 2002年06月06日 21時49分 (#103863)
          別コメントで元ネタ(多分)を報告した者ですが、その際のgoogle検索queryは、"space station relativity atomic clock"です。

          御参考まで。

          んで、そもそも検索かけた動機は、
          >##だいたい、一般相対論が必要な領域では
          >##特殊相対論って大域的には破れてるよね。
          まさしくこれです。(笑

          多分CNNの記事自体ちゃんとオリジナルソースを理解してないと思います。

          なお、原子時計を使って何かを調べる(異なった原子を使えば例えば物理定数の変化の影響は異なったものになるから進みに差が生じる)という類のアイデアはかなり前から有ります。

          今回は地球外で高速運動させることで相対論を破る変化、CPT不変性(物理の基礎的な対称性)を破る変化を高感度に検出出来るというもののようです。

          まだよく読んでないので間違ってるかも。(笑

          なお、私自身は原子時計に隣接する領域の仕事をしております。:)
          親コメント
        • >「無重量の宇宙空間」とかアヤシすぎ

          「無重力」と「無重量」は違います。
          今の記事の場合「無重量」が正しいです。

          無重力は、重力の存在しない空間のこと。
          今の場合、地球をまわる宇宙ステーション上ですから、
          地球の重力が存在しますよね。
          それを遠心力で打ち消して、あたかも重量が無いかのような
          状態なわけです。
          だから、「無重量」を使うのがいいです。
          親コメント
        • タレコミ屋っす。

          >「などの」とか「無重量の宇宙空間」とかアヤシすぎ。

          ごめん、「無重量」はtypo。
          #"k"が抜けたっぽい。

          てか、わしは物理学素人で、CNNの記事をてきとーに咀嚼してタレこんだんで、
          そのあたりあんま突っ込まんどいて。

          #このあたり、CNNの記事をコピペったはずだが、CNNのほうにはないなあ。
          #記事変わったような気がするけど、気のせい?

          #ついでにいえば、これ却下されると思ってた。
          #採用されてびっくり。
          親コメント
    • 要するにこれは、物理定数は本当に定数なのか?っていう実験だと思う。平たく言えばローレンツ不変が破れるかどうか。

      異なる慣性系にある2つの原子時計のずれを調べるという昔ながらの実験だけど、片方が軌道上にあるとこれまでにない精度で測定ができるってことではないだろうか。

      門外漢なのでとんちんかんなこと言ってるかもしれないが。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2002年06月06日 18時50分 (#103778)
    相対性理論の破れってこういうこと? [highway.ne.jp]
    で、相対性の破れが確認されたら、"GPSとかの精度 [hi-ho.ne.jp]がちょいと変わりそうなのかな

    確かにこれは結構でかいかも。ディファレンシャルGPS [mlit.go.jp]って誤差数センチっていっててもう、事業化に [sokkia.co.jp]突っ走ってるから、相対性理論の破れが実証されたら大変だろうなー。
    • オフトピックですが、

      > ディファレンシャルGPS [mlit.go.jp]って誤差数センチって
      ディファレンシャルGPS(DGPS)ではなくて、リアルタイムキネマティック(RTK-GPS)ではないですか?DGPSだと、1.5mくらいの精度しかないと思います。
      親コメント
    • >相対性理論の破れ

      もともと特殊相対性理論は、慣性系上での理論です。
      それを適用範囲外に持って行って、破れてるって言っても、
      意味ないです。

      「パソコンを水中で使ったら動きませんでした!」
      なんて言っても、笑われるだけでしょ。そんなことも知らないのかって。

      それから、一般相対論は特殊相対論を、より一般的な重力の在る系にまで
      拡張した理論なので、特殊相対論を内包しています。

      きちんと適用範囲内で使う限りにおいては、両理論とも正しいです。
      親コメント
  • by Akami (4183) on 2002年06月06日 19時32分 (#103804)
    どうせ特殊相対論も、現行の量子論も(もっとも厳密な意味では)問題を含む理論だとか。
    古典論、相対論(一般・特殊)、量子論(シュレーディンガー、ディラック)は極めて基本的な物理定数として万有引力定数、プランク定数、光速度のどれをきちんと配慮しているかで分類できるそうで、いまだ3つの定数をすべて完全な形で配慮した理論は現在のところ確立されておらず、それを狙うのが「大統一理論」とかいう話です。
    なので、大統一理論へ向けて一般相対論と特殊相対論の誤差を現在より精密に計測してデータを作るのが今回の観測だと……思ったのですが。
    • by locate (5848) on 2002年06月07日 1時11分 (#103973) 日記
      上にも書いたのですが、どんな物理理論にも適用範囲があります。
      その適用範囲を決めることは重要な研究となり得ますが、
      適用範囲外に理論を持ち込んで、誤差云々をいうのは意味ないです。

      一般相対論は特殊相対論を含みます。
      つまり、特殊相対論の適用範囲内では、一般相対論は特殊相対論に一致します。
      特殊相対論の適用範囲外で、特殊・一般相対論間を比べるのは無意味です。

      大統一理論に関連していえば、一般相対論は数ミリメートル以下の
      スケールでは検証されていません。
      したがって、その数ミリメートル以下のスケールにおいては
      一般相対論が適用できなくなる可能性はあります。
      そのときには、一般相対論を含むような新しい理論が必要になるでしょう。
      しかし、数ミリメートル以下で重力が支配的で在るような現象を、
      見つけるのは容易では無いでしょう。
      親コメント
      • by oddmake (1445) on 2002年06月07日 8時17分 (#104050) 日記
        しかし、数ミリメートル以下で重力が支配的で在るような現象を、 見つけるのは容易では無いでしょう。
        マイクロブラックホールが手近なところにあればよかったのにネェ・・・。
        --
        /.configure;oddmake;oddmake install
        親コメント
  • dodongaです。

     表題の通りです。

    #物理から離れてXXX経つけど
    #あたりまえの事としてやってなかったのか。

     まぁ、予算を考えるとほんの些細な機材の重量も含めて許可されなかったのかも。
    --
    閑話休題
    • これまで、ジェット機や人工衛星に原子時計を積んで、
      さんざん実験されてます。
      みなさん御存じの様に、GPSの形で実用化も進んでいます。
      これらの二番煎じで、精度を高くしただけ、の実験です。

      「相対論が破ているかも」という言葉につられて、
      無知な記者の書いた駄文です。
      親コメント
      • 自分のコメントにコメント(^^;)

        >これらの二番煎じで、精度を高くしただけ、の実験です。

        ちゃんと論文読んだら、相対論の検証実験で無いことが
        分かりました。ので、これは撤回。。

        >無知な記者の書いた駄文です。

        これはそのまま残します。
        親コメント
        • by K_O_ (7268) on 2002年06月07日 13時14分 (#104166)
          >>これらの二番煎じで、精度を高くしただけ、の実験です。
          私も最初のコメントの時点ではそう思ってました。(^^;

          >>無知な記者の書いた駄文です。
          これについても限定付きで同意します。
          もっとも、NASAのプレスリリース自体相対論関連のものとして出てるんで、NASAの広報段階で「どーせCPTなんて述べたところで判らんだろうから一般受けする相対論についてだけ詳しく述べよう」とかいう判断が有ったのではないかと邪推してます。そしてCNNの記者は(そして/.Jも:-)もろにそれにはまったと。(笑

          >#あたりまえの事としてやってなかったのか。
          先端の原子時計に欠かせない、原子の冷却/捕獲をやってる者として述べるならば、たとえ予算が付いても宇宙に持ってゆける実験装置を作るのは相当面倒な仕事です。
          原子を冷却/捕獲するには、周波数が少なくともMHz程度のオーダーで安定してるレーザーが必要です。当然研究者自身の手作りになります。
          で、ロケットで宇宙に上げるとかだと、打ち上げ時のGだの振動だの、実験室環境とはほど遠い劣悪な環境に置かれることになります。波長が狂ったからとて手で調節なんてできませんしね。
          というわけで、私の感想としては良く頑張ってるなぁ、というものになります。(笑
          親コメント
      • 御存じのとおりGPS衛星には原子時計が搭載されています。 誤差は数十万年に1秒。すでに湾岸戦争より前に(もう10年経ちましたね)稼働しているので、 最新型より数桁精度が悪くても24台の結果をまとめれば結果は出ているはず。 さらに、総合通信研究所(日本標準時を管理している所です)のページを見れば世界中の標準時を数十億分の一秒単位で管理している衛星もあるそうです。”原子時計が搭載されたGLONASS 衛星も時刻比較に使用されています。 これらの方法では、数億分の1 秒から数十億分の1 秒の精度で時刻比較を行うことが可能となり
  • by teltel (1423) on 2002年06月07日 13時53分 (#104188) 日記
    NASA の記事だと木星軌道まで時計をもって行って太陽に自由落下
    させる計画もあるみたいで、なかなかたのしげ。

    # オフトピ。初もじらコメント。
    # ほんとうは昨日コメントしようと思っていたのだけど、日本語が打てなかった。
typodupeerror

弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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