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4074 story

田中耕一氏がノーベル化学賞受賞 91

ストーリー by yourCat
続け続け 部門より

yanagi曰く、"ノーベル物理学賞に続いて島津製作所の田中耕一さんが受賞した模様です。"

ribbon曰く、"「生体高分子の同定および構造解析のための手法の解析」ということでだそうです。
連続して日本人にノーベル賞が送られることになりました。いや、めでたい。また号外が出るんでしょうね。"

島津製作所のサイトにはまだニュース・リリースがない。朝日新聞毎日新聞読売新聞の各記事によると、タンパク質にレーザーを当てイオン化して飛ばし、その飛行状況から質量分析する手法を開発したことが評価された。おめでとう。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 実際にMALDI-TOF/MSを使って研究してますし、年齢も小柴氏ほどには(笑)離れてないこともあって、これまで以上に身近に感じられました。

    ヒトゲノムプロジェクトで遺伝子レベルでの解析が進んだ後、次はそこから実際に出来上がってくる蛋白質を直接解析しようとする「プロテオミクス」研究が進行していますが、それを支えている重要な分析装置の一つにMALDI-TOF/MS(*)があります。その基盤となったのが田中氏の受賞研究であるようです。
    質量分析(MS)は大雑把にいうと、目的分子をイオン化させて電場に送り込み、その移動速度からそのイオンの質量を求めるものですが、従来の方式ではそのイオン化の条件が強く、分子自体が分解された小さなフラグメント(MW数百程度まで)として検出されてました(これを利用して低分子の分子構造を決定していた)
    しかし、ソフトなイオン化の方法が開発されたことで、かなり大きなフラグメント(MWが数千〜数万)でも解析できるようになり、それを用いて現在では高分子である蛋白質の同定が可能となり、生化学の分野で非常に強力なツールになっています。
    この分野でのMALDI-TOF/MSの利用(ペプチドマスフィンガープリンティングによる蛋白同定)はいずれはLC-MS/MSにとって代わられるものだと思いますが、その基礎を築いたことは非常に大きなことだったと言えます。

    * Matrix assisted laser desorption/ionization - time of flight - mass spectrometry、マトリクス支援レーザー脱離イオン式飛行時間型質量分析計、マルディ-トフ-マス
    • by Anonymous Coward on 2002年10月10日 1時17分 (#180652)
      >ソフトなイオン化の方法が開発されたことで、(中略)それを用いて現在では高分子である蛋白質の同定が可能
      これでノーベル賞の一つもとれなきゃその方が嘘だ!
      MALDIでなくても各種の電顕等でも一昔前には生物観察しようとすると良くて干物まかり間違うと黒焦げになったものですが、最近はみなさんの努力で生きている状態に近い細胞の様子を捉えることが出来るようになりました。
      「夜中の方が像が安定するんだ!」とかいって昼夜逆転の生活を送っているみなさんにも愛の手を!
      親コメント
      • by SteppingWind (2654) on 2002年10月10日 1時49分 (#180683)

        > 「夜中の方が像が安定するんだ!」とかいって昼夜逆転の生活を送っているみなさんにも愛の手を!

        確か電顕を設置する場所の近くに道路が有るとダメなんですよね. と, 金属結晶の研究室の同期が言っていました. 私は切削・研削加工なので走査電顕レベル止まり.

        親コメント
  • by shadowfire (6584) on 2002年10月10日 10時19分 (#180835) ホームページ
    読売新聞によると、
    ノーベル化学賞102年の歴史で、大学卒業という「学士」の肩書しかない受賞者は田中さんが初めてだ。
    ということだそうだ。
    日本の物理化学関係では初めてかと思っていたら
    ノーベル化学賞全体で見てもそうだったのには驚いた。

    --
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    /* SHADOWFIRE */
    • 生理・医学賞のコンラート・ローレンツさんの経歴をさっきから
      探しているんですが、これというのが見つかりません。
      だれか、ご存知の方は教えてください。
      (多分、ムツゴロウさんみたいな経歴だと思うんですが)
      親コメント
      • ソロモンの指輪で仕事の関係でどこそこに住んだとか
        読んだおぼえはあるんですが、記憶が希薄…

        > 生理・医学賞のコンラート・ローレンツさんの経歴をさっきから
        > 探しているんですが、これというのが見つかりません。
        > だれか、ご存知の方は教えてください。

        さくっと google で見つかりました [nisiq.net]が…

        以下抜粋

        長じて、ウィーンとニューヨークで医学を学んだのち、ウィーン解剖学研究所の助手となり、ここで動物学を学び、以来、彼は動物行動心理学の研究に専念することになった


        1937年に比較解剖学と動物心理学で博士号を得、ケーニヒスベルク、ミュンスターなどの大学教授、ウェストファリアのマックス・プランク水生動物研究所の動物行動学部の部長をへ、バヴァリアのマックス・プランク行動心理学研究所の主任を勤めた。
        --
        「それがどうした、おれたちには関係ない」
        親コメント
    • by kt (4556) on 2002年10月10日 14時31分 (#181030)
      会社は学位請求論文を書くための時間を与えるべきだと思うな。
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    • by zozbug (9256) on 2002年10月10日 19時40分 (#181232)
       新聞を読むとサラリーマンの星、みたいな報道がされてますなあ。なんかまんまプロジェクトXになりそうな。

       地道なサラリーマンが得る栄誉、っていうテーゼが正しいか正しくないかはともかくとして、魅力的に映ります。真面目で勤勉が素晴らしい、って言葉にするとなんか社会主義的プロパガンダっぽくなってしまうけど、作業着で会見にでてきた田中氏は素直にカッコいいと思う。
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      • カネにも出世にも身だしなみにも興味がなく(各種報道をみて私はそういう印象を持ちました)研究一筋の人と、そこいらのおっちゃんを「サラリーマン」という同じカテゴリに入れるのもどうかと思います。
        田中さん、そんじょそこらの本職よりよっぽど「学者バカ」(ほめ言葉です)なんじゃないだろうか。
        親コメント
        • by fagen2 (10623) on 2002年10月11日 17時52分 (#181969)

          「身だしなみにも興味がなく」と言うのはどんなもんなんでしょうね。 あの手のメーカーというのは、会社に来賓があったときなどでもあの ような「作業服」で応対するのは別に珍しいことではない(今の作業 服というのは「油でドロドロでダサダサの・・・」というようなもの ではないので)し、あの下に着ていたシャツにジーンズ、というのは 研究者だったらごくごく当たり前の格好ですよ(今僕もそういう格好 してますが)。

          親コメント
  • by tada (5086) on 2002年10月10日 1時04分 (#180642)
    ここまで連発されると、何だかノーベル賞の輝きが一瞬色あせて見えてしまいました。
    勿論素晴らしい事に変わりはないんですが、それほどの連発ですよね。
  • by Anonymous Coward on 2002年10月10日 1時25分 (#180656)
  • OIOI! (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2002年10月10日 9時34分 (#180807)
    おいおい!なんかその後の報道を見てると文部省や会社も全くの予想外だった、文部省はリストにもあげてなかった、って言ってるけど。

    他の方も書かれてますけど、すでに確立した有力な研究手法の開発者がノーベル賞とるのがそんなに不思議なことですか?
    差障があるので具体例は挙げられませんがもっと怪しげな業績でとっている方もいらっしゃいますよね。
    変わり者の本人や周りの親族が意外だとおっしゃるのは、微笑ましいけど、文部省はシャレにならないでしょ!
    以前、文部省の役人が福井博士に、「燃料化学なんて時代遅れでしょ」て言ったって噂を聞いたんですがアレは本当なんでしょうか?
    もし本当なら、小一時間と言わず、生徒指導室に軟禁して一昼夜問い詰めたいです。
    島津屋敷の周辺にいる浪人者なら「ば、幕府の犬め!」と叫ぶでしょうね。
  • この記事 [yahoo.co.jp]によると、田中さんの技術を生かした特許への褒賞は1万円だそうだ。
    研究のために昇進もしないでいるような人だから
    文句は言わないのだろうけど、1万はあんまりな気もする。
    それなりに売れているようでもあるし。

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    /* SHADOWFIRE */
    • 技術立国という立場を死守したいので有れば、こういう点も変えていか
      ないといけないと思うのだけどね。

      単に理科好き、科学好きを増やすだけでは、続かないのだな。

      さて、これで田中氏の処遇がどうなるか、ちょっと楽しみだったりする。

      山ほど、他の研究所や大学からのスカウトがくるだろうし。
      親コメント
      • してみますか(笑

        この発明を使っているかもしれない1台4,000万円の機材が年間50~60台ほど売れているらしいですね。特許に基づくものかどうかはわかりませんけど。

        あと、ノーベル賞の発表により島津の株価が約40円も上がっています。これにより株式の時価総額が100億円以上上がっています。もちろんこのまま推移する訳ではないですけどね。

        そんなこんなで、臨時ボーナス\d+億円くらいは払ってあげましょうよ。かつ職級だけあげて年収もあげてあげないと。

        外資の会社に引き抜かれちゃいますよ・・・外資だったら、契約金1億、年収5割増、自宅の賃貸肩代わり、研究費の拡充くらいで引き抜きにかかりますかね。
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        • by y_tambe (8218) on 2002年10月11日 19時40分 (#182041) ホームページ 日記
          >この発明を使っているかもしれない1台4,000万円の機材が年間50~60台ほど売れているらしいですね。特許に基づくものかどうかはわかりませんけど。

          ただまぁ実際のところ、今回の受賞が絡んでいるMALDI-TOF/MSについては島津のシェアは低い方ではないかと。国内でも現在アプライドバイオシステムズ [appliedbiosystems.co.jp]が取り扱ってる(以前は別の海外メーカーが作ってたのが吸収合併された)Voyagerシリーズが一ばんよく使われてるんじゃないかなあ。 このあたり [jaima.or.jp]を見ても。
          僕もそうだったのですが、実際にMALDIを使っている日本の研究者でもその開発につながったのが日本人の研究だってことを知らなかった、というのはこのへんにも理由があると思いますね。

          MALDIに関してはHillenkampが実質上の開発者と呼べる(田中氏のはさらにその元の原理にあたる)ものだってこともあって、会社がその恩恵を受けてるという感じではないのではないかと思います。一連のニュースを見るとSLDで特許は取ってるみたいですが、MALDIの方にそれがおよぶかどうか疑問です(もしそうならもっと島津のシェアが高くなりそうなものだから)
          ただ、このことから「当時の島津の上層部に先見の明がなかった」などという批判をするには当たらないとは思います。むしろ「SLDにまで行っておきながらMALDIに行き着かなかったのは(田中氏も島津も)運が悪かったなぁ」というのが個人的な感想です。
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        • 現在の田中氏の年収は800万ほどだそうで、5割り増し程度の年収で
          引き抜き交渉を持ちかけてくるとは思えませんね。(笑)

          会社や、職場もどう処遇すれば良いのか、頭が痛いでしょうなぁ。

          こういうときに、会社の知恵と度量が試されるわけだ。

          そして、こういうシーンでもきちんと対応できることが、これからの技
          術立国の条件なんだと思います。
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          • いや、金に興味がなさげだったので、研究費の拡充の方が魅力的かなぁと思ったんですよ。金で釣るという構図が嫌いな人な気もしたので。

            あと、例の中村氏も、1,500万から2,300万へ約5割増だったので、そんなもんかなぁとね。
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        • また海外の人から「スレイブタナカ」とか言われてしまうのでしょうか。高額過ぎる報酬も嫌ですが、「本人がいらないと言っている」ことを理由になにもしないのも嫌ですね。

          #私はエンジニアだと言いなおすって、ちょとかっこいいと思った.
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