JR北海道が新型特急車両の開発を中止、速度よりもコストと安全性を重視したため 70
ストーリー by hylom
貧すれば鈍す 部門より
貧すれば鈍す 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
JR北海道が開発していた新型特急車両について、開発を中止することを発表した(発表資料PDF)。
この新型特急車両は、カーブを曲がる際に車体を傾斜させることで、より高速にカーブを曲がることができるというものだった。しかし、JR北海道は速度向上よりも安全対策を優先するためにこの車両の採用を断念、開発を中止することにしたようだ。
乗り物ニュースによると、JR北海道は相次ぐ車両トラブルなどの不祥事により、安全性を高める方針に転換。車両の最高速度も従来より抑えるようにしていた。そのため、新型車両を開発してより高速化が可能となってもその恩恵は受けられず、さらにメンテナンスコストの増大といった問題を抱えることになってしまう。そのための開発中止のようだ。
開発されていた車両はディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド型の駆動系を持っており、その観点からも注目されていたが、現在のJR北海道には新型車両にかける余力はないようだ。
DMVも (スコア:2)
DMV [jrhokkaido.co.jp]の導入も断念 [asahi.com]とか(ただしソースは朝日。)
Re: (スコア:0)
「第三セクター鉄道などのてこ入れ策として注目されていた。」
とも書いてあるし、東が引き取って三陸のBRTに使うとかできんのかなー。
Re: (スコア:0)
BRTでやるなら普通のバスを買った方がコスト低いよ
Re: (スコア:0)
もともと。災害復旧はしないが導入の裏条件だったからねぇ。
そのうえ、t/Tの方がまだ実現できそうってぐらいの惨状だったから…。
単に (スコア:1)
きちんと路線の保守を行わないと、車両の高速化でより危険度が増すだけだ、という当たり前の事実に気づいただけかも。
Re:単に (スコア:5, 興味深い)
JR北海道のハイブリッド傾斜装置は振り子システムも使う [jrhokkaido.co.jp]のでレールの側圧が上昇する [wikipedia.org]。
当然線路のゆがみ [nkh-cjrg.co.jp]も増大すると考えられる。
軌間狂いを放置していた会社が注力すべき技術ではなさそうですね。
Re: (スコア:0)
不誠実な整備でリスキーな線路を走る不安と。
老朽化して危険な車両がより長い年月走る不安の。
どちらかを選ばなければならない北海道。
この大地は試されすぎ。
Re:単に (スコア:2, すばらしい洞察)
「ならば今すぐJR北海道に金を与えてみせよ」
って話になっちゃうんだけどな。
ぶっちゃけ北海道なんて大半は赤字路線で、現状マトモに黒字が出てるのはごく一部しかない。
具体的には青函トンネルから函館までの区間と、新千歳空港~札幌だけと言っていいレベル。
じゃあ赤字路線を廃止すればいいかっていうと、そんなことしたら北海道の物流が大惨事になる。少なくとも貨物輸送ができなくなれば本州に北海道の農産物や畜産物、魚介類が入ってこなくなるしね。
#たとえば東京に回ってくる牛乳の量は現在の1/3ぐらいになるんじゃないか、なんて話もある。
そうなるともう、JR北海道は「赤字を垂れ流しながら延々と事業を続ける」しかないんだよなぁ。
その中でサービス向上とかして客を増やしたいっていうのはあると思うけど、今回みたいに投資も難しい状況。
ぶっちゃけ国鉄民営化全てが失敗だったとは思わないけど、赤字でもやらなきゃいけない公的インフラの一部であるという意味では、北海道と四国は国鉄のまま残してもよかったと思うんだがなぁ。(九州もちょっと微妙)
Re:単に (スコア:2, すばらしい洞察)
真ん中3つのJRは、それぞれ強力なドル箱路線・エリアの儲けで、地方の赤字路線を支える構造なのにね。
他のとこは死ねと言ってるようにしか見えない分割方法。
Re:単に (スコア:1)
このあいだ京都に行きましたが、103系とか113系とか懐かしい車両が並んでいました(奈良線と湖西線)。大阪には201系が生き残っているそうですし、そんなに儲かるエリアなのかなぁって印象です。山陽新幹線がドル箱路線なんでしょうか。在来線では大都市のはずの岡山や広島には115系がたくさんいますしね。山陰の方とか、どうなんでしょう。今度の内閣には島根と鳥取の大臣(竹下復興大臣、石破国家戦略特区大臣)がいますけど。
車両の更新という面では、JR九州の方が進んでいるように見えます。民営化の時点でボロばっかだったから更新せざるを得なかったという面もあるでしょうけれど、A-Trainを全面的に導入したりして(ななつ星もその派生型ですよね)。無駄に丈夫な40系気動車を種車にリゾートトレインを作ってみたり、今年で製造後92年目になる58654を運用していたり。58654は民営化の時にボイラーを新造して2007年に台枠を新造したから、残っているのはロッドとプレートと汽笛くらいかも知れませんけど。なかなか頑張っているようです。高速道路と張り合うことを(九州新幹線を除き)ハナから諦めていたのが北海道と明暗を分けた理由なのかなという気がします。気がするだけですが。
JR西日本は無理がたたって福知山線事故を起こしましたが、無理したくなるほど経営基盤が脆弱なのかも、という風に見えてしまいます。
Jubilee
Re:単に (スコア:3, 参考になる)
九州は高速道路と張り合うことを諦めてなんかいないですよ。
九州も、883系と885系は振り子式で130km/h運転をやって高速道路に対抗しています。
路線条件で完全に不利な宮崎はほとんど放棄ですが、それ以外の県庁所在地は高速バスと真っ向対決しています。
JR西日本は確かに新車への更新が遅れていますが、
これは途中まで国鉄車を改装して長く使う方針だった時期があったからです。
でも、改装費を費用計上していたら、そこまで抜本的な改装は資産計上しなさいと税務署に突っ込まれて、
結局税務面でのメリットが無くなって、新車での置き換えに方針転換したんです。
Re:単に (スコア:1)
たしかに博多から大分と長崎についてはおっしゃるとおりでした。ただ、高速バスは値段が圧倒的に安いんですよね。福岡都市高速はそれなりに渋滞もしますから定時性という鉄道のメリットは一応ありますが、客の流れはどうなんでしょう。新幹線接続があれば鉄道を選ぶ客が多いかも知れませんね。
JR西日本の車両政策にそんな事情があったとは知りませんでした。ありがとうございます。
Jubilee
Re:単に (スコア:1)
青函トンネルの前後区間はそんなに輸送量無いですよ。
JR北海道公表の2013年度の旅客輸送密度だと、五稜郭-木古内で8000人/日未満となっていますから、地方交通線水準です。
幹線のランクになる8000人/日以上を達成したのは、小樽-旭川、桑園-北海道医療大学、白石-沼ノ端-東室蘭、南千歳-新千歳空港だけですね。
Re:単に (スコア:1)
貨物を含めた収益性の話をしているところで旅客輸送密度の数字出すのはミスリーディングですな。
Re:単に (スコア:1)
貨物はアボイダブルコスト分しか線路使用料を払わないので、
旅客会社にとっての路線の収益性を考える際に貨物を考慮する必要はないですよ。
路線の重要性を判断するなら、貨物も考慮する必要がありますが。
Re:単に (スコア:2)
「ぶっちゃけ北海道なんて大半は赤字路線で、現状マトモに黒字が出てるのはごく一部しかない」
と言っているのだから、その後段の「青函トンネルから函館までの区間」は黒字だ、と言う主張ですよね。
元コメも収益性の話をしています。
それより後で、物流面での重要性があるから赤字路線だからと言って廃止できない、と路線の重要性の話になってきている。
その点では私も異論はないんですよ。
でも、収益性の面では札幌中心の通勤通学輸送網がJR北海道の柱で、青函トンネルは取るに足らないんです。
Re:単に (スコア:1)
逆。
独立行政法人が100%株持ってて国から金銭的支援もあるんだから、国鉄のまま残ってたんでしょ。悪い意味で。
民営化検討の時点で生き残れそうだった本州だけ民営企業にして3島+貨物は国の手元に残してるんだよ
Re: (スコア:0)
あれだけ道路が発達しているのになんで物流が鉄道依存なの?
Re:単に (スコア:2, 興味深い)
あのアメリカですら陸上輸送の鉄道依存は高いぐらいだからねぇ。
大量の荷物をざっくり運ぶのは、たくさん貨車を繋げられる乗り物が強い。
オーストラリアぐらいの田舎になると、たくさんのコンテナトレーラーを1台のトレーラーヘッドが引くタイプのロードトレインが出てくる。
Re:単に (スコア:1)
青函トンネルをトラックが走れないから。
Re: (スコア:0)
飛行機があるのに海運がメインの如し
Re:単に (スコア:1)
よく分からんけど、消費者から見た地元かなぁ?
Re: (スコア:0)
orだけじゃなくandの組み合わせも選べるよ。
へろへろの軌道をキハ183が130km/hオーバーでぶっ飛ばすとか。
Re: (スコア:0)
その183系気動車もねぇ。
初期車なんて、良く走れているなって状況だから…。
まぁ、技術力が落ちたと言っても、キラ星がトップグループに落ちたって状況だから…。
カーブ多いの? (スコア:1)
広い大地でも地権者の思惑でグニャグニャ曲がってるのかな。
まるで (スコア:0)
> この新型特急車両は、カーブを曲がる際に車体を傾斜させることで、
> より高速にカーブを曲がることができるというものだった。
> しかし、JR北海道は速度向上よりも安全対策を優先するために
> この車両の採用を断念、開発を中止することにしたようだ。
複合斜体傾斜システムが危険なようにも読める。
速度出すためにこんなところにお金をかけるんじゃなくて、
速度出すことは考えずに安全対策にお金を使う方向に転換したんですよね?
Re:まるで (スコア:1)
>速度出すことは考えずに安全対策にお金を使う方向に転換したんですよね?
そっちだと思う。
高速化を実現するとそれに対する維持コストも高騰するので、それよりも今おざなりになっている安全対策に全力で取り組むんじゃないすか。
イニシエの日本高度経済成長の時に、生産性向上や利益追求よりも安全第一を掲げた方が結果的に良かったらしいし。
Re:まるで (スコア:1)
でも、JR北海道は軌道や車両への負担軽減、機器トラブルの防止を目的として、2014年8月30日のダイヤ改正を以って、開発中止のJRJR北海道キハ285系の代わりに生産するとした、在来型JR北海道キハ261系気動車の車体傾斜装置すら使用を取りやめることを発表したんじゃなかったっけ?
Re:まるで (スコア:1)
だから増備分のキハ261系は車体傾斜装置の装備は取りやめるらしいですね。
速度出さないなら車体傾斜装置要らないし。
Re:まるで (スコア:1)
キハ183&キハ283「ボクたちには会社傾斜装置がついてるもんね~」
Re: (スコア:0)
車体傾斜装置は、コンプレッサの容量増加と、空気溜めの容量増加と、配管を太くする部分の設計がかなり難しいからね。
車体傾斜装置初代の200系気動車で車体傾斜装置を事実上使ってないのは、その辺が解っていなかった頃の設計だから…(261系気動車ですらその辺の考慮が甘かった、多分設計最高責任者は無意識だったと思うけど)。
金だけ有っても (スコア:0)
技術がなきゃ意味無いだろ
Re:民営化の弊害 (スコア:2)
Re: (スコア:0)
Re:民営化の弊害 (スコア:2)
Re:民営化の弊害 (スコア:2)
いいかげん「国鉄分割民営化」は失敗だったと認めたらどーだ。
ま、ローカル線のお客って高校生しか居ないんだけどね。
・中坊までは徒歩か自転車
・高校生は鉄道で通学
・高校出ると車買うか都会に出ちゃう
・ジジババは自宅近くから出ない
なので、しょうがないっちゃしょうがない。
**たこさん**・・・
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
民営化は事業の自由度が増してよかったんじゃないでしょうか。
分割は、四国の事業規模が小さすぎるなど、粒度がおかしいと思います。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
「「国鉄分割民営化」は失敗だったと認めたらどーだ」的な論調の人、他にもいますけど、
こういう人って、100点でなければすべて失敗なんですかね。
国鉄時代のダイヤの酷さは、当時の時刻表を見返せばすぐにわかることですし、
事故率はこの30年で1桁のオーダーで下がっていますし、
国鉄時代には毎年数千億の補助金を貰っても累積債務を拡大させる状況だったのが、
今は毎年数千億円の税金を納めています。
これだけ改善していて、失敗とみなすのは、いくらなんでも評価が厳しすぎじゃないですかね。
JR北海道よりさらに厳しい状況にあるJR四国が今回のような問題を起こしていないことを見れば、
本質的な問題は北海道の経営にあって、民営化ではないことは明らかかと思いますが。
民営化に起因する問題があったとしても、これからさらに改善していけばよいことであって、
民営化自体を失敗とみなすのは違うと思います。
民営化の失敗というのは、イギリス国鉄の民営化のような派手な失敗例がありますから、
そういうのを見ていると、日本は随分うまくやったんだな、ということがわかりますよ。
イギリス国鉄民営化については、クリスチャン・ウルマー『折れたレール』という
日本語訳のある解説本があるので、一読をお勧めします。
Re:民営化の弊害 (スコア:2)
他の人も指摘するように、人もモノもカネも無いような中でよくやっているとは思います。
やはり、分割の仕方に問題があるような気がします。
都市部の高密度輸送ばかりに投資し、赤字路線は廃止へ。
赤字の鉄道路線は本当に要らないんでしょうか?
**たこさん**・・・
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
そんなことはない。断じてない。
まず根本的に北海道と四国では地理的条件が違いすぎる。
冬は確実に、かなりの雪に覆われる北海道と、積雪なんて年に数回あるかどうかの四国。
また、地図を見ればわかるが、四国の鉄道路線に比べて、北海道では道路から逸れた場所を走っている部分の長さが長い。つまりメンテの要員を車で送り込むのも困難な箇所が多いということ。
このあたりの数字は線路の単位距離あたりの保線にかけられる予算を見ればわかる。北海道は九州と同等程度、四国は北海道の8割程度。
たとえば保線を外部委託するとして、「単位距離あたり1万円で北海道の保線やるか、8000円で四国の保線やるか」って言われたら、大半の企業は後者を選びたがるだろう。だって北海道の保線費用の中には豪雪の対策(除雪や雪の重みによる機器の破損など)も含まれるもん。そう考えれば、いかに北海道が「金がかかる線路を少ない予算で運用させられてるのか」が判る。だから問題はJR北海道が受けている予算的な支援であって、JR北海道そのものの金銭のやりくりが悪いと断言できるような話ではない。
(ちなみにJR東日本はJR北海道の2.5倍ぐらい、東海に至っては6倍ぐらいの金額を保線にかけているわけで、線路のクオリティに関してこれらの会社と比較されるのは、もはや「かわいそう」と言っていいレベルだろう)
自分は国鉄民営化に関しては「メリットもデメリットもあった」と思うけど、少なくともJR北海道が公共インフラとして担っている責任や範囲に比べて、受けている金銭的な援助が少なすぎるとは思うし、その点については国鉄民営化の明確なデメリットだと思っているよ。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
気候的に北海道の方が保線で不利なのはそうですけど、一方で四国は大都市がまったく無いという不利もあるんですよ。
北海道はまだ札幌都市圏輸送というそれなりに利益の出る路線がありますが、
四国にはそういう場所はありません。
さらに、2015年度には北海道に新幹線が伸びてきますが、四国には新幹線のめどはありません。
なので、四国の方が状況は厳しいと認識しています。
なお、保線費用が本州の方が多いのは、リッチな保線をしているという見方をするかもしれないですが、
保線作業量は通過トン数に大きく影響されるので、もともと本州の方が必要な作業量が多いのです。
JR東海がそんなに多いのは、東海道新幹線の保線作業がほとんどを占めるからでしょう。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
> 利益というか利用者数で見たら予讃線とかと殆ど変わらないレベルだよ。
平成23年度鉄道統計年報を参照しましたが、予讃線の平均輸送密度は6404人/日ですね。
高松から宇和島まで通算していますけど、高松側の一番多い区間でもそう大した量ではないでしょう。
統計年度はずれますが、2013年度にJR北海道が発表した数値だと、小樽-岩見沢や千歳線は4万人/日を超えています。
平成23年度の統計で、JR四国で一番輸送密度が高いのは本四備讃線で20536人/日ですね。
したがって、大都市部での輸送量はJR北海道の方がJR四国より圧倒的に多いのです。
そして、大都市部の輸送はまだこれからも堅調ですが、それ以外のローカルはこれからの先行きは暗いのです。
なお、全線での平均輸送密度は北海道4631人/日、四国4406人/日です。
> 新幹線が伸びてきたらそれに応じて金が降りてくる可能性はあるけど、現状では関係ない。
> 新幹線が伸びてきたからといって周辺の在来線が活性化するわけでもない。そもそも2015年に開業するのは函館までで、そこから鉄道でどこか行くってユースケースがどれだけあるかすら怪しいし。
金が下りるということではなくて、確実な利用客を確保できるということです。
都市間旅客も放っておいたらだんだん右下がりになってしまいますが、新幹線が開通すれば持ち直します。
でも四国にはその当てもない、ということです。
> これも前述のように、北海道の保線費用には雪対策の費用が少なからず入っていて、これは通過トン数に全く関係がない。なにせ雪は列車の都合とか関係なく降るから。だから列車が少ない分、北海道は保線のコストが下がるということはない。
北海道の保線費用が高くつくのはそうでしょうが、本州が安くなるわけでもない、と指摘したんですよ。
本州がたくさんお金をかけているのは、それなりに理由があるということです。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
> 統計年報よりJRの株主向け資料とか鉄道雑誌に載ってるような資料見てごらん。
> #あと駅ごとの利用者数も併せてみると判りやすい
いや、鉄道統計年報を無視って無茶苦茶ですよ。
ごく限られた過密区間と、それ以外の過疎区間を平均したら、全体としてそこそこ、
の数値になるのはそうでしょうが、小樽-岩見沢は「ごく限られた過密区間」の側ですよ。
函館本線全体を平均しても輸送密度は1万人/日を超えます。
予讃線より大きいんですよ。
全体として、都市輸送は堅調だが、ローカル輸送は漸減、という傾向があるので、
長く経てば四国はほとんど残らなくなるが、北海道は札幌圏輸送が残る、ということで、
JR四国の方がJR北海道より鉄道会社としての状況が厳しい、という判断には一向に変わりがありません。
極端に言えば、北海道は千歳・小樽・岩見沢の内側だけに営業を縮小すれば、
全線の輸送密度で言えば名鉄より上、近鉄より下のクラスになりますが、
四国は瀬戸大橋だけに営業を縮小しても能勢電鉄と同クラスなのです。
それから保線費用にも疑問があったので調べると、やはり鉄道統計年報に費用が載っています。
平成23年度で北178億、東1858億、海1122億で、保守対象となる線路長(路線長ではなく、複線区間はダブルカウントした数値)は
北3105.9km、東12647.6km、海3326.5kmなので、1kmあたり北572万、東1469万(2.6倍)、海3374万(5.9倍)と、
#2675944に示された値がほぼ出てきますね。
しかしこれは、新幹線と在来線を合計した数値なので、
#2675979の「上に書いた金額は在来線の保線費用に関するものなので、新幹線は入ってない」というのは誤り、ということです。
やはり新幹線に手がかかるから保線費用が多いということでしょうし、
それに貨物列車を挙げるなら、在来線の東海道本線の貨物列車走行数は北海道に比べて多いですよ。
たとえば http://eco.goo.ne.jp/business/keiei/keyperson/53-5.html [goo.ne.jp] こちらに路線別の断面貨物輸送量を示した地図が載っています。
平成15年度とやや古いですが、東海道本線が圧倒的に多くて、北海道の各線はそれよりだいぶ少ないのがわかりますよね。
したがって「静岡あたりの地域輸送メインの東海道本線と比べたら函館~札幌あたりのほうが通過してる重量では多いんでないか」
は現状にまったくそぐわないわけです。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
その困難な状況で、四国はとりあえず問題を起こさない保守をしているのに、
北海道は問題を起こしたのだから、今回の問題の原因を国鉄分割民営化に求めるのは無理があるのでは、
と言う話をしています。
分割のやり方で見れば、ずっと恵まれた状況にあったはずのJR西日本ですら、
大事故を引き起こしたわけですから、結局安全対策にどれだけ経営陣がコミットするか、
が鉄道の安全性に大きく影響してくるのです。
もちろん、大きな鉄道会社の方が余裕があって、安全対策に投資しやすいという面があり、
それが実際に事故率に影響してくることは確かですが、
北海道と四国の差はそこではないと思います。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
#2676211は「四国は北海道ほど困難じゃない」と言っているのではなくて、
四国は鉄道が無くなっても困らない、という話をしているんですよ。
> 事故の原因は何も1つじゃなくて、JR西のほうは速度優先の企業体質が原因だったけど、だからJR北の事故も企業体質が原因とするのは理屈が通らない
それはJR四国との比較で、北海道の経営の問題だ、とする論証をしてきたはずです。
事故の原因は1つではない、ということであれば、単に北海道に事故が連続したことを持って、
安易に国鉄分割民営化に原因を求めるのも理屈が通らないですよね。
> 現場がいくら予算請求しても、上が金を出せなかった
金を出せなかったのではなく、現場に押し付けておけば何とかできるだろう、という安直な発想を経営がしたんですよ。
保線が必要とするなら、新型車両の導入を先送りしてでも金を準備するべきだったのに、
それをせずに現場に押し付けたんです。
>金はないけど根性と技術で安全性を確保しろ、なんていうのは妄言
それをまさにJR北海道の経営陣がしたんでしょう。
今回の問題を受けて、JR北海道は5年で1400億円の安全投資をする、と発表されました。
ではこのお金はどこから出てきたんでしょう。
経営陣がちゃんと安全対策に目を向ければ、お金を用意する、ということではありませんか。
それをせずに放置してきたのが北海道の経営だったんですよ。
JR三島会社は、中小民鉄と違って、経営安定基金というアドバンテージがあります。
こちら [fromhc.com]にその分析がありますが、
この低金利下で異様に高い利率で運用できているのは、リンク先にあるように、
実質的に鉄道建設・運輸施設整備支援機構から補助金が流されているからです。
つまり、三島会社が経営破綻しないように、適当な補助金を計算してそれに応じた運用益が出るように
利率が設定されているのです。
北海道が保守に経費が必要だというなら、ちゃんとそれを費用に計上して、利率を引き上げてもらえばよい話だったのです。
国鉄分割民営化の枠組みにはまったく問題が無かったわけではないでしょうが、
それでも三島の線路を維持していくための仕組みはちゃんと組み込まれていたんですよ。
にもかかわらず北海道がこうなったのは、経営陣が現実を見ずに「早く上場を」と言って、
経費削減に必死になっていたからでしょう。
北海道の保線に費用が掛かるのは否定しませんし、実際に四国よりキロメートル当たりの保線費用は大きいですよ。
でも、本州の会社の保線費用と比較して、こんなに少ない、と言い出したのはACさんではないですか。
しかもそれは、通過トン数の差や新幹線の高い保線費用を考慮しない比較だったのです。
会社の経営は、支出だけでは決まらず、収入も見る必要があります。
そして、JR北海道は支出は多いかもしれないが、札幌都市圏輸送という確固たる柱があって、
JR四国にはそういう柱が無い(むしろ関連事業の方が柱である)ということを言っているのです。
JR四国の線路の保守に手がかからなかったとしても、収入も少なければ、やっぱり鉄道としての経営は厳しいんですよ。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
> 事故率はこの30年で1桁のオーダーで下がっていますし、
そうそう! 国鉄民営化の肝はまさにそこなんですよね。
とあるJR社長経験者が述懐していましたけど、旧国鉄の安全軽視は本当にひどいものだったようです。
基本、公益事業なわけですから、「巨額の赤字」だけなら分割民営化などという議論は起こらなかったでしょう。
「カネをいくら注ぎ込んでも安全な鉄道が実現できなかった」ことが、この荒療治に取り組む決定的なモチベーションになったのだと思っています。
# 某R○○○WARS!はそういう国鉄の暗部が全然描けていないところが物足りないですね。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
JR北789系特急電車とか。北越急行683系特急電車の増備とか普通に入ってますよ。
振り子電車は、新規導入がJRで渋ってるのは、スピードとコストのバランスが悪い路線があるからです。
確実に路線のメンテナンスコストが上がってしまうからです。
(まぁ組合のサボリで車両すらメンテを満足にできなかった北は論外なわけですが)
振り子投入に失敗したとされる区間はJR東:新宿~松本、JR西:大阪~新宮がよく言われています。
どちらも振り子の投入が最小限になり、最新型が非振り子の車両になってしまった為言われるようになりました。
Re: (スコア:0)
北はサボっているんじゃないけどね。
車両が老朽化しすぎて、人が圧倒的に足りない状況。
地上設備も、東西の要求を優先にして使っちゃいけない部品の半分も新品を供給をしない状況で、さらに、新人要請も満足にできない単価にしたら、こうなるよねって状況。
それでも、発注元公認でデータ改ざんをしたり、惨状の北ですらやらない炎上事故をやったり、乗客を陸の孤島で約一週間雪隠詰めする会社よりはマシですけどね。
Re: (スコア:0)
国鉄時代の新快速って、複々線の遅い側を走らされてなかったっけ?
まあ、未だ岡山には未達なのだが。
Re:民営化の弊害 (スコア:1)
複々線区間においては列車線の利用編成は国鉄本社直轄である一方電車線の利用編成は各鉄道管理局扱いだから
列車線をちんたら走ってる長距離列車を尻目に電車線を使って大阪局が新快速を走らせて地域ニーズに応えた
と聞いたけど