お茶の水大、「ニセ科学批判」がらみで提訴される 251
ストーリー by Acanthopanax
sosumi 部門より
sosumi 部門より
apj 曰く、
以前、ここで「お茶の水大、科学的考察ページを企業からのクレームで公開停止」という記事が出たが、今度は本当にお茶の水大が提訴された。この提訴について、原告が、9月19日に遠赤外線応用研究会のセミナーで発表する。イベントの趣旨としては、「波動」「マイナスイオン」をポジティブに捉えて商売に利用するための情報交換を目指している模様。大学教員まで名を連ねて、遠赤外線はともかく、インチキであることが判明済みの「波動」や、掛け声だけの「マイナスイオン」の後押しをしている。
(つづく...)
以下、プログラムより引用:
「『ニセ科学批判者』を批判する」
- ニセ科学批判者たちの怠惰と傲慢
- お茶の水女子大「水商売ウォッチング」を名誉毀損で提訴
- 民事裁判の経過
マグローブ(株) 代表
健康と環境の神戸クラブ 代表
吉岡 英介原告である吉岡氏は、磁気活水器のネットワークビジネスを展開中(人生100年ネット/水は変わる)。
ところでこの訴訟、掲示板への書き込みが原因で起きたのだが、原告は、書き込みを行った者でかつ掲示板の管理者でもあるapjを外して、大学だけを提訴した。掲示板書き込みが原因の名誉毀損訴訟という点から見ても、発信者がほとんどわかっているのに、匿名の書き込みであると言い張って発信者をわざとに外して提訴するというのはある意味斬新ではある。このため、apjは、民事訴訟の当事者として攻撃防御を行うべく、独立当事者参加の申出を提出し第二回口頭弁論から参加、次回も引き続き弁論を行う予定である。apjからの訴訟資料の提供はi-foe.orgで行っている。
テスラの間?? (スコア:5, おもしろおかしい)
何てふさわしい会場を用意してるんだと、一瞬感心したよ。
日本物理学会 (スコア:5, すばらしい洞察)
学会で「ニセ科学シンポジウム」やってたぞ。
学者もそろそろ本腰入れてこいつら潰しにかからないとまずいんじゃないか?
面倒だから相手したくない、とかじゃなく社会的責任として。
Re:日本物理学会 (スコア:5, 興味深い)
いや,マジな話「面倒だから」って言葉で言えるレベルを超えて面倒ですよ.
だって(TV番組でのUFO論争なんかと同じで)相手は最初から真剣に科学的検証をする気なんかさらさら無いわけで,最終的に「従来の科学では説明できない」に持っていかれちゃうわけですよ.そうなると水掛け論にしかならないですよね.しかも,いくら学者がマジメに嘘を指摘しても,TV番組なんかで「最近になって学会で発表されたのですが,こういう新しい学説があるんです」とか放送したら,本当はそれがトンデモ系学会+トンデモ系学者だったとしても,そんなことまで判断できない無知な信者が爆発的に増えるわけです.で,そんな不毛なことに自分の貴重な時間を捧げて,しかも自分が得るものが何も無いとくれば,「…とりあえず相手するのやめよう」になっちゃうのも当然かと.
TV(…に限らないけど)も,取り上げるネタについては,その学説を主張してる先生がどんな先生なのか,仲間内で作ったテキトーな学会かマトモな学会か,さらに別の学会ではどういう評価をされているか,ちゃんとそういう背後まで調べてから情報を流すべきだし,(擬似科学でなくても)科学ネタに関しては反論する学説まで含めて紹介しないとダメだよねぇ.
Re:日本物理学会 (スコア:2, おもしろおかしい)
水買え論
Re:日本物理学会 (スコア:4, すばらしい洞察)
逆にそっち経由で逆襲くらう懸念を持っている予感。
#以前テレ朝で科学者VSオカルト対談みたいな番組みたけど。科学者サイドを集中的に茶化してばかりのアレな展開だったしなあ
構造的問題 (スコア:3, 参考になる)
マスメディアは構造的に、広告費に多額の支出をする企業の肩を持つ事に対する、インセンティブがありますね。対抗軸から対策を考えると、受け手である消費者が賢くなるしかないと思います。
Re:日本物理学会 (スコア:2, おもしろおかしい)
「すべてはプラズマで説明できる」という科学者を
対決させるからそんなことに・・・
Re:TVの場合は (スコア:2, すばらしい洞察)
細木だのスピリチュアルカルンセラーだの、実質的なテレビ伝道師をプライムに流しているよーな始末だし。
本当にやりたい放題やらかしているとしか思えません。
Re:日本物理学会 (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:日本物理学会 (スコア:1)
でもなー提訴されるとやっかいだよな (スコア:1)
深読みすると危機一髪 (スコア:5, 興味深い)
つまり、この裁判では、訴えられたほうとしては名誉毀損とはならないことを証明しなければなりません。
このため、名誉毀損を成立させないため
1.公共の利益を守る目的で行ったということ。
2.訴えたものにたいして損害を与えていないこと。
3.公にされていないこと。
のいずれかを証明するする必要があります。
2の用件に関しては、実際に吉岡氏が商売として行っているということから反証を出すのはおそらく厳しい。
3の用件に関しては、少なくとも/.でも取り上げられているくらいのためこれも反証を出すのはおそらく厳しい。
ということは、残る1の用件を立証しないといけません。
つまり、吉岡氏の活動等が公益を損なっていることの証明が必要になってきます。ということは、吉岡氏がこの件について行った行為に対して被害が出ていることを証明しないといけません。簡単に言うと、「彼が効果がないにもかかわらずあるように見せかけて販売したものを買った人がいる。」という事実を証明すると解決は早いでしょう。(ほかのアプローチもあるかもしれないけど)
これができないと厳しい結果が待っている可能性があります。
裁判官も良識的にはかなり怪しいと思いながらも両者から提出された証拠のみを元に裁判を進めないといけません。
今後の日本のためにもお茶ノ水女子大にはがんばってほしい。
もし、吉岡氏の被害にあわれた方がいればお茶ノ水女子大に連絡してくれるとおそらく喜ばれるのではないかと思います。(と橋下氏のようにあおってみたりして)
Re:深読みすると危機一髪 (スコア:4, 参考になる)
Re:深読みすると危機一髪 (スコア:2, 参考になる)
原告が、相手の故意又は過失、権利侵害、因果関係等を主張立証する
責任がありますよ。だから、「2.や3.でない」こと(行為と損害が
あること)は原告が主張しないとダメです。
そこが立証されなければ、そもそも1.の違法性阻却事由(ここでは、
公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的に出たものであり、
かつ真実性や真実と信じたことについての相当性があること)を被告が
主張する必要はないわけです。
今回の事件の訴状を見ると、「原告がいわゆる悪徳商法を行っている
若しくは始めようとしているかのような記述」が、名誉毀損だと
しているわけで、科学的真実とか以前に、その「記述」で名誉が
毀損されたと言えるのかが問題です。個人的には、この段階で既に
違法性が認められない可能性も高いのではないかと思います。
Re:深読みすると危機一髪 (スコア:4, 参考になる)
日本の常識ですから。これからこの手の訴訟は増えますよ。
Re:でもなー提訴されるとやっかいだよな (スコア:2, 興味深い)
「鑑識が科学的であること」と「科学的な鑑識が裁判官によって採用されること」は全く違います。
また、アリバイがあっても訳の分からない理屈や検察側の都合で無視されることさえあります。
前者は御殿場事件で進行中の酷い話、後者は富山の冤罪で見られた話。
検察も裁判官も大抵の弁護士も、やっぱり魔界の住人ですよ。
Re:でもなー提訴されるとやっかいだよな (スコア:3, 参考になる)
せめてググってから言って欲しいです。
一方からの意見ではありますけど、私が例とした御殿場事件 [geocities.co.jp]では、
・当初犯行当日とされた日のアリバイがあるのに無視
・被害者がその日そこにいなかったという「アリバイ」までみつける
・被害者、なんと犯行日を変更
・その日のアリバイもあるのに、でっち上げだと検察・裁判官は無視
・高裁でも有罪
ですよ。自白さえあれば、科学的・論理的証拠など意に介さないことはこの国の裁判では往々にしてあります。
Re:でもなー提訴されるとやっかいだよな (スコア:3, 参考になる)
もっとも、落合洋司氏も書いているとおり、「検事をやっていると、正直言って、裁判所が捜査機関ペースで簡単に認定してくれる」 [hatena.ne.jp]のは確かなようですが。
あと、ついでに反対の立場のサイト [seesaa.net]にリンクしておきます。
ではまた
Re:日本物理学会 (スコア:4, 参考になる)
そこで反対派が言った言葉
「今はコンピューターで動物実験と同じことが出来るから、必要ないんです!」
……が忘れられません。
当時のわたしは「どんなすげーシム人間だよ。人形使いもびっくりだな」とか思ったもんです。
#今だったら局地的なシミュレートくらい出来るのかもしれんけど。どっちにせよ全身使えなきゃ意味ないだろうしね。
反証可能 (スコア:5, すばらしい洞察)
Re:反証可能 (スコア:4, おもしろおかしい)
訴訟を呼び込んだのはお茶の水女子大自身 (スコア:5, すばらしい洞察)
今回ターゲットにされたお茶の水女子は結局自らの行動(圧力を受けた時点で安易に臭いものに
蓋の対応をした)が原因で今回の訴訟を招き入れているとしか見えないのですが。あの対処方法は
圧力をかければ容易に屈すると自ら喧伝したようなものですし。
ここでもう一発屈服させておけば、他の同様な批判を行う人間に対してプレッシャーをかける
いい材料になりますし、まさに絶好のカモですわな。
科学的な反論ができる力を持つ人々が逃げの姿勢を貫けば、一般消費者の間で被害がどんどん拡大
するだけです。コンテンツ叩き出しの対処を決めた責任者には、いま一度よくこのことを考えて
欲しいものです。
Re:訴訟を呼び込んだのはお茶の水女子大自身 (スコア:2, 興味深い)
>いま一度よくこのことを考えて欲しいものです。
そういうことを決めた人は、そもそもあまり物を考えない人じゃ
ないかな。きっと反省しないよ。
で、訴訟なら弁護士が出てくるから訴訟になっていいこともある、かも。
お茶大にかぎらず日本の大学って攻撃に弱いかも。
守ってくれるしくみがないし。
みんなで守りあうこともあまりないみたいだし。
Re:訴訟を呼び込んだのはお茶の水女子大自身 (スコア:2, 興味深い)
大学側だけなら、簡単に屈すると考えてのことなのでしょうか?
「ファインマンさん」のシリーズ(「電磁気」とかでなく、「ご冗談でしょう」のほう)で、永久機関か何かの装置を壊してしまったと彼が訴えられた話があった。で、訴訟を大学に任せておいたら、大学側は和解してしまった。
とても古い記憶なので、間違っているかもしれません。
この頃は、新しい記憶でもあやしいし。
Re:訴訟を呼び込んだのはお茶の水女子大自身 (スコア:2, 興味深い)
訴訟資料の提供はi-foe.orgで [i-foe.org]の「本件訴訟がなぜトンデモなのか」を読めばおおよそ理解できると思います。
# /.に本人投稿という時点で、真面目さと遊び心(これは思い込みかも)が感じられてとても素敵。
これだけは言わせてください (スコア:5, 参考になる)
母が肺ガンでそれに付け込むように「水でがんが治った」とか言うやからが現れ
それも紹介した人が善意の人だったりしていろいろ苦労しました
そのときにはすごくお世話になりました
その健康にいい水の方々が言うには「一日何リッターでも飲むと直る」とか本当に
最初は兄弟で「本人が信じるなら・・」とはなししてましたがさすがに水中毒 [wikipedia.org]の可能性
や薬の効果が低下する可能性が高い話を延々としてくるので辟易しました
ちょうど自分が鬱病で水中毒を知っていたので助かりました
さすがにもう母は鬼籍に入りましたが、下手したら被害が出るような、また人の弱みに付
け込むようなこんな商売はやめて欲しいです
#活性水素の水はいくら飲んでも大丈夫!!とかいってたやつらに10Lぐらい飲ませて
#水中毒にしてやりたいと思いましたよ
Re:これだけは言わせてください (スコア:3, 参考になる)
絶対も何も、効果を謳った時点で「薬事法違反です」と突っ込みましょう。
「覚えきれないから、確実な事だけ印刷物でちょうだい」
っていうと浅はかな販売者は証拠をくれますが、判っていてやっている奴はくれないので、一つの判断基準になります。Re:これだけは言わせてください (スコア:4, 参考になる)
日本で医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器として認可されていないもの(いわゆる健康食品・健康雑貨)で、心身への効能を謳うとアウト
ということなんですね。(あってますか??)
僕みたいな人は健康安全室薬事監視課監視指導係-薬事法と健康食品 [tokyo.jp]や医薬品等の広告規制について(薬事法) [tokyo.jp]などで(いずれも東京都福祉保健局のサイト)、もっと勉強しないといけませんね。
マルチ (スコア:4, おもしろおかしい)
ネットワークビジネスってマルチ商法だろ。
いちおう合法だけど、法律守ってたら商売にならないくらい厳しい規制がかかってる。
従って、まもってるヤツなんていないから、結局違法な商売。
あれだ、暴力団と一緒。
暴力団も、法律さえ守ってれば合法な組織。
でもさ、法律守ってる暴力団がいるわけない。
結果、暴力団=違法な組織って認識で、ほぼ間違いない。
Re:マルチ (スコア:3, おもしろおかしい)
違うよ。全然違うよ。 [megalodon.jp]
だからどうなの? (スコア:2, 興味深い)
だからどうなの?
apj氏が「原告のおこなってるビジネスは違法だ」と証拠を挙げて言明してるなら、公益性があるからそれは名誉毀損にはあたらない。しかし、違法なビジネスをやってる奴は人権なんて認めねぇなんてのは日本では許されない。そこは間違えちゃいけない。
で、この裁判結構、大学をプロバイダ責任法でせめてる点は部外者にも興味のある話でしょう。apj氏は自分を被告にしないのを「トンデモ」と表現してますが、野球で言うと、打ち気マンマンの4番apjを敬遠して、自信なさげな大学で勝負ってとこでしょ。トンデモどころか「自分が勝つとしたら、これしかない」と練りに練った作戦を実行って感じでしょ。1審に限って賭けをするとしたら穴狙いで原告勝ちを買おうかなと思わせる雰囲気ありますね。
本人来ました。 (スコア:5, 興味深い)
民事訴訟はあくまでも私的自治の延長にあるので、当事者同士の争いに止まっているのであれば、さほどニュース性は無かったと思うのですが、原告が
・わざわざ発信者を外して名誉毀損訴訟を提起
・しかもそれを講演会で話す(主催は遠赤外線研究会であって、何とか法学会ではないので、かなり無理矢理感がある)
というあたりで、目的外提訴、つまり濫訴と考えるべきだという結論に至りました。
スラッシュドットに出した理由は、掲示板における名誉毀損訴訟のパターンからはずれたケースであることと、組織に対する攻撃があった場合の個人の対応例を提案することができるのではないかと考えたからです。
掲示板書き込みが原因の名誉毀損訴訟は、発信者を特定できれば大抵の場合は発信者が提訴されますし、それを妨げた上に削除もしなかった場合は掲示板監理者が提訴される(2ちゃんねるの例など)となっています。発信者と監理者の両方を、共同不法行為として提訴するというのも、もちろん有りです。しかし、今回のように、発信者を極めて容易に確認できるのにそれをせず、匿名と言い張るというのは少ないと思います。でもって、発信者が訴訟法の手続きをとって裁判所に当事者として出向き、裁判官の前で「私が発信者です」と弁論し、裁判官が原告に向かって「発信者に損害賠償請求はしないのですか」と訊いているのに「その気がない」と答えた上で訴訟を続行するというのは、相当稀なケースだと思います。この部分は、変な訴訟としてむしろネタ性が強い部分だと思います。
もう1点は、企業では少ないかも知れませんが、組織内からの情報発信の自由度をどう確保するかという問題です。大学内からやるなという意見もありますが、私は、大学内から、ニセ科学批判関連に限らず、いろんな情報発信ができる自由度を将来に向かって確保しておくべきだと考えています。情報発信の結果、社会の一部分の利害に反する結果になるということは、今回だけではなく、今後も起こりうることです。もちろん、明らかな誹謗中傷を容認するわけではありません。いずれにしても、大学側の果たす責任と発信者の果たす責任を切り分けて、表現の内容については発信者が責任を負うというのが、自由度を確保する一つの方法だと考えています。
大学には、グレーゾーンとなるような表現が名誉毀損かどうかを事実認定して判断する機能などありません。事実認定と判断は裁判所の仕事です。ですから、結論は最終的には裁判所で出すことになります。しかし、嫌がらせや牽制のために、大学を巻き込んで訴えるという手段は誰にでも取れます。この場合に、発信者としてどう動いて責任を負うかということが問題となります。この訴訟を例にして、責任の負い方の一例として、民事訴訟には訴訟参加という方法があることを知っていただければと思います。
いずれか一方の当事者に補助参加する方法と、独立当事者参加(これを認めるかどうかは裁判で決まります)という方法があります。補助参加の方は、元の当事者の立場に引きずられるので、立場としては弱いです。独立当事者参加だと、三面訴訟の形になり、元の当事者の弁論に引きずられずに訴訟を行うことができます。
これ以外にも、元の訴訟で争われている表現内容が不法行為に該当しないという「確認の訴え」を別に提起し、弁論を併合するように申し出るという手もあるかもしれません。民事訴訟の、紛争を矛盾なく1回で解決するという機能をきちんと使おうというものです。こちらは、私が一番最初に思いついた方法でした。不法行為でないという判決を得られれば、削除要求や損害賠償の根拠を消滅させることができますので。ただ、これでは元の訴訟を止められないので、当事者参加すべきだと弁護士にアドバイスされました。
今回、私は、発信者の立場で、当事者であると名乗り出ました。法的な構成としては、責任者の冨永教授が一緒に参加する方がすっきりするのですが、ちょっと見送りました。
なお、今回の表現に関して言えば、裁判官すら、どこが名誉毀損か読んだだけではわからないので原告に求釈明している状態です。前回の口頭弁論では、裁判官は「名誉毀損訴訟だと普通は読めばどれが名誉毀損かわかるものだが……」ということを発言していました。裁判官すらそう受け止めるような表現を見たときに、大学つまり素人が、名誉毀損か否かの判定を正しくできるとは考えられません。
ルールは作ったようにしか運用されない (スコア:2, 興味深い)
大学からの情報発信の自由度を考えるにあたっての前提ですが、たとえばエロサイトを勝手につくるとか、全く関係のない趣味のページを作りまくるといったものが含まれないことは確かでしょう(学生がちょこっと作るのはほほえましいと思われるかもしれませんが、職員がやるのは違う)。従って、教育あるいは研究といった活動の範囲に限るということになります。個人が何でも勝手にやるということが前提ではありません。
「大学からの情報発信の自由度の確保」の問題とは、「誰かの利害には反するが公益性のある情報」をどこまで研究者・教員個人が大学から発信できるのか、という範囲あるいは相場を決めていこうということを意味します。発信者の自由意思で外でやるというのは当人の勝手だし自由ですが、それではルールなり基準なりをどう決めるかということには寄与しませんので、今回は考慮しません。
極端な解決策の1つは「教員による情報発信の自由を一切認めない」というものです。コンセンサスが得られるならばそれも有りですが、その場合は、大学としてそのことを(内外に)意思表示すべきでしょう。弊害もありますが、これを選んではいけないという理由もありません。
別の解決策の1つは「クレームがあったり訴えられたりしたら即止める」というものです。この場合も、そのことが世の中に知れ渡っていないといけませんね。「大学からは、企業のクレームに引っ掛からない情報だけ提供します」ということに他なりませんから、そのフィルターの存在が正しく知られていないと、情報を受けとった人が判断を誤ります。
さて、例えば私はニセ科学とどう向き合うか、騙されないためにはどうするかということをテーマとして、講義もしていますし、一般の方々に講演するといったこともしています。その内容には、水商売ウォッチングの内容もかなり含まれています。この内容は、必要とされていることもある一方、商売の邪魔だと思う人が居ることもまた確かです。講義の内容をウェブで公開すれば、嫌がらせの提訴の対象にはなり得ます。情報発信の基準として「クレームや提訴があったらやめる」を選んだ場合、講義内容を大学から発信できなくなりますが、講義そのものをしてはいけないということにはならないでしょう。つまりウェブに出してはいけないが、講義はしてもいい内容がある、ということになってしまうわけで、これはかなり変です(講義資料を作るにあたっての著作権の問題は敢えてここの議論に入れません。混乱しますので)。なお、名誉毀損における公然性については、大学内の委員会に流れただけで公然性有り、と判断されます(これは実際に私が原告となって裁判所の判断を確かめました。)。講義でも公然性有りとされるでしょう。
では、クレームや訴訟への対応を大学に丸投げにしたらどうなるか。大学のみが責任を負うとなると、大学は情報発信の事前規制をせざるを得ず、そのチェックに現実に使えるリソースを考えると、実質的に、教員の情報発信を原則として禁止し、チェックできる限られた情報に限って公開するという形になると思われます。
もちろん、あきらかな誹謗・中傷の発信が許されるわけでは無いのは当たり前のことです。ただ、「単に不利益になる情報」に対して「誹謗、中傷だ」「名誉毀損だ」というイチャモンが付けられることが現実にはよく起きるということも考慮しておく必要があります。
大学から外部への情報発信は会議を通ったものだけ、という運用以外に、現実に運用可能なやり方があるかどうかについては、今の時点では、まだ、考えておく意味があると思います。
私の案の一つは、大学は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(通称プロバイダ責任制限法)に定められたプロバイダとして行動し、ただし教育・研究機関であるという性質上、実質的な発信者(責任者も含まれる、何かあった時に訴える相手)を特定できる形で情報を出しておき、発信内容についての法的責任は発信者が負う、というものです。つまり、裁判所で当事者になるということです。ですから、今回は、自分で弁護士と契約し、民訴47条に従って、独立当事者参加の申し出をしました。
最終的に、世の中と大学が、どういった制度を作るという結論で合意するかは私にはわかりません。ただ、制度は作ったようにしか運用できません。多分、今はまだ過渡期で、試行錯誤している状態なのだと思います。
情報発信と社会連携を巡って起こりうる問題 (スコア:3, 興味深い)
今、大学教員には産学連携しろという圧力が、あらゆる形でかかっています。それはそれでいい面もあるのですが、変な宣伝をする企業と共同研究してしまうというケースも出てきています。共同研究の範囲がまともでも、それ以外のところで変な宣伝をしている場合がありますので。すると、「○○大学と共同研究」というフレーズと共に「わけのわからん科学っぽい宣伝」が世の中に流通することになります。一方、会社との共同研究の実績は、大学としても大いに宣伝したい種類の情報ですので、大学側で共同研究リストを作っていたり、大学お墨付きで実績としてウェブで公表していたりします。
ニセ科学批判などをしていると、学内の別の教員の共同研究の相手にツッコミを入れてしまうという、内部での利益相反が起こり得ます。教員による情報発信禁止方式を選んだ場合には、変な宣伝の方は大学の名前と一緒に世の中に広まり、批判の方は学内からは一切出てこないという結果になりそうです。まあ、教員の情報発信可能な運用をしたとしても、利益相反のときにどう判断するかという部分で、大学の見識は問われるかと思いますが……。
#実際、「こんな一般向け講演企画の申し込みがあって」と主催者サイドから連絡され「それは例えばこんな結果が論文として出てないと、そこまで言うのは危ないですよね」などと話をしていたら、講演者が学内の別の先生だったということが……orz。
Re:マルチ (スコア:2, 興味深い)
大学が責任能力に乏しいことに目をつけて、個人を裸にしてしまう戦術ですね。個人を攻撃するのはよりやさしいと考えていて、次の手をすでに用意しているかもしれません。
こういう人たちは、もともと検証困難、検証するのに時間もお金もかかって面倒臭い題材をわざと持ちだして、自分からは絶対に検証をしないというか、検証を反対する人の責任にするというやり方を使います。マルチ商法は、マトモな人が被害を受けない程度なら、騙される人は騙された方が悪くて、それで少々利益をあげても構わないという法律上の位置づけだと思いますが、だからといって、反対者が沈黙させられてしまっては本当にヤクザ経済になってしまうでしょう。
対抗するためには、より簡単に検証する方法を考えないといけないでしょう。「悪徳商法」の時は自作自演が発覚しましたが、この遠赤外線なんとかのサイトもやっぱりインチキ臭いし、この手の情報をインターネットで検索して出てくるものには何か傾向があるようです。
内外に向けた宣伝活動か (スコア:4, すばらしい洞察)
これとか [yamagata-u.ac.jp] これ(「ひょっとして壮大な…」のツリー)とか [i-foe.org]が参考になるのですが、
原告にとっては、訴えの内容が何であろうとも(今回の訴訟は「ニセ科学じゃない!」という主張とは無関係)、
とにかく「大学」や「科学者」という権威に「裁判で勝つ」ことで宣伝効果が期待できるんでしょうね。
訴訟の内容をうまくぼかし、
「裁判所が私の主張を認めました! ニセ科学批判学者に勝訴しました!」とだけ大声で叫べば、
さも「磁気水」だかなんだかの主張にお墨付きが与えられたように錯覚しますし。
タレ込み人は・・・ (スコア:3, すばらしい洞察)
んー (スコア:3, 参考になる)
こういう人たちって (スコア:2, すばらしい洞察)
批判されても「もしかして俺間違ってるかも」じゃなく
「そんなはずはない、俺が正しくてあいつが間違ってる」という
自己洗脳スパイラルに陥るんだよ
Re:こういう人たちって (スコア:2, おもしろおかしい)
騙すつもりで騙さないと、詐欺にはならないんですね。
ではまた
これはやはり (スコア:2, おもしろおかしい)
こう思うのは私だけ? (スコア:1, 興味深い)
どうでもいいですよ~♪
「微妙」な学会 (スコア:1)
by
サトルエネルギー学会 理事
平澤 幸治
subtle, adj.
1 繊細な〈区別など〉; 微妙な, とらえにくい, 名状しがたい, 不思議な〈魅力など〉; 難解な.
2a 〈知覚·感覚など〉敏感な; 〈人が〉鋭い, 頭の切れる; 巧妙な, 巧緻な.
b ずるい, 陰険な; 油断のならない〈敵〉; 潜行性の〈毒物〉.
3 〈溶液など〉薄い; 〈気体など〉薄く広がる.
研究社、リーダースプラス(抜粋)
まぁ、いい意味でも悪い意味でも使う言葉だけどね。どうとでも取れる言葉を選ぶこと自体、「アヤシゲな」って感じ。少なくとも科学的な態度じゃないねぇ。
Re:「微妙」な学会 (スコア:2, 興味深い)
ああそれ、うちの社長が「福利厚生の一環」と称して社員に配ってたよ。
ゴムのような質感のチョコレート色した物体で、
魚がデザインされた小さなメダルみたいなモノなんだよな。
紐で首にかけると宇宙の波動エネルギーを吸収して…。とかなんとか。
会社の訓辞に、「よい波動を出そう」なんてのもある。本当に。
もうね、そんなに波動がほしけりゃイスカンダルにでも行ってこいと。
Re:科学と科学的な何か (スコア:2, おもしろおかしい)
試聴は出来ないけど、2番の歌詞に、今回の「水商売」に対する皮肉が歌われてる。
勘違いですよ (スコア:4, すばらしい洞察)
「ニセ科学批判」について勘違いなさっていると思いますが…。
科学ってのは、「本当である」ことを何らかの客観的な形で証明しなければなりませんよね。
で、何らかの新しい現象を「科学的に証明した」と主張する人がいる。
だけど、その証明手法(例えば実験手法)が客観的に見て科学的とは言えないものだった。
そこで、別の人が「その証明手法は間違いである(科学的な証明になってない)」と指摘する。
これが「ニセ科学批判」です。
「水がヒトの言葉を理解する」という主張が正しいのかどうか、ではなくて、
そう主張する前提が間違ってるから出直せ、そんな主張で商売すんなって話なわけですね。
謙虚とか異端とかは関係ないと思います。
Re:研究費の出どころ (スコア:2, 興味深い)
誘導されなくても、企業の方々はわりと好き勝手にやってくださいます。
例えば何回も測定を行った中で「最も都合の良いデータ」(でも他の測定事例から
考えるにどう見てもintrinsicではない)を抜き出して広告に使うとか、実際の
製品の使用事例ではありえないような条件下での測定結果を使うとか。
マイナスイオンブームのころなんて、企業の製品開発部の人が「イオン測らせて
くれ」ってやってきて、イオン化装置のごく近傍でイオン数を測ってその数値を
根拠に「多数のマイナスイオンが発生」とか広告で謳っていました。
実際の使用時を考えると、迅速に再結合してユーザーの手元ではほとんど何も
残ってないはずなんですけどね。イオンの健康への影響云々は置いとくとして。
装置を一般に公開している以上測りに来るなとも言えないですし、説得しようにも
向こうもわかってやってるのでどうにもならず。どうしたもんだか。
大企業の人たち、わりと嘘は書かないんですよ。「健康に良いと"言われている"」
とか、「○○という結果が(たまたま一回だけだけど)得られました」とか。
【↑要注意サイト】 (スコア:2, 参考になる)
# こういうときこそマイナスモデ
Re:大学サイトに固執する天羽氏 (スコア:3, 興味深い)
大学のためにとか,大学の名の下で研究するわけでありません.(もちろん
例外もあります)ですので,研究者の発言は研究者個人が責任を持ちます.
研究についてもそうです.大学が責任を持つわけではありません.
大学の研究者は個人的な興味に基づいて個人的な責任の下で公的資金なりの
外部資金を獲得し,研究を行うものです.そこに大学の「名前」は一切関わりません.
(研究テーマに社会的な意義や価値があれば公的な研究費がつくでしょうし.)
ですので
という批判はもともと的外れであることが分かると思います.
お茶の水大の~,東大の~,京大の~,なんてのは研究の中身,評価や研究者の
発言とはまったく関係がそもそもないのです.そんなことで研究者や研究内容を
判断してたら,すくなくとも研究者を批判する者としては失格ですし,そんな
研究者がいればその人はおそらく三流でしょう.
元コメの発言は apj さんが紹介している訴訟の経緯 [i-foe.org]のなかにある
吉岡英介氏とのやりとり [ocha.ac.jp]で感じた違和感と同じものを感じました.
ただ,普通はそういうことが知らない人が多いので,apj さん自身が言っているように
という議論が必要になってくるのだと思います.
うん、うまく自白したね (スコア:3, 興味深い)
要するに、これが原告の狙いだと解釈してもいいでしょう。わかりやすいです。
・名誉毀損など成立しようのないネタで大学だけを提訴
・大学がうるさがってコンテンツを出すなと言う
・吉岡ウマー
自分から目的外提訴であることを言いまくるというセンスはちょっと理解を超えていますが。