oddmakeの日記: 2048年、刺身が食べられなくて、さしみい 173
日記 by
oddmake
Scientific Americanおよびnews @ nature.comより。
Dalhousie大学 生物学部のBoris Worm博士らの研究によると、人類の海洋の扱い方がこのまま変わらなければ、2048年には漁業資源は壊滅するという。
チームの分析は国連食糧漁業機関による1950年代からのデータに加え、32の実験、48箇所における観察し、さらに最近1000年間における沿岸漁業の歴史的データを参考にしている。1800年代と比較してみると、商業的に重要な魚類について、91%の魚類が資源量を半減させ、38%が資源的にほぼ消滅し、7%が絶滅しており、1950年代と2003年で比較してみても、29%の資源が壊滅しているという。
そして何も対策がとられなければ、2048年には残り全ての漁業資源が壊滅することになるだろうとしている。
Boris Worm博士らは漁業全体を捕獲から養殖へと変えていき、乱獲や汚染を防いで海の生物学的多様性を維持していくことで、漁業壊滅は防げるだろうとも見込んでいる。
刺身が食べられなくてさしみい(淋しい)ことにならないよう、海を大事にしたいものである。
91%が半減の意味 (スコア:5, 興味深い)
最生産力が最も大きくなる点(MSYと言う)に維持して漁獲することが望ましい。
(MSYを直接目指しても駄目だと言うのが最近の定説だが。)
例えば、その再生産力が最大になる点が、環境収容力の半分の地点であるならば、
当然漁業はその地点を目指すことになり、それは健全な漁業と言える。
重要なのは処女資源からどれだけ減ったか?ではなく、漁獲努力量(船の数とか)が一定にも
関らず、連続して漁獲量が減少しつづけているかどうか?である。
逆に言えば漁業を行ったら、年魚を産卵後に漁獲するのでもない限り、成魚の資源量は
必ず減少するが、それは再生産量の減少に繋がる訳では無い。
再生産量を減らさない限り水産資源は消えてなくなったりはしない。
PPTファイルで申し訳ないが松田教授の主張 [ynu.ac.jp]等参照。
養殖よりは、種苗放流のほうがまだマシな方策だと思う。完全陸封型の養殖で無い限りね。
Worm博士のグループは石油団体からお金を貰っている関係上、海上汚染の
最大原因がどこか言わない点で、グリーンピースとあまりかわら無い気がする。
(増えすぎた)鯨を間引きしないと、どうにもならない気が (スコア:5, 参考になる)
昔、ゲームの理論の参考例題で読んだのですが、
(たしかイギリスの研究グループが)大西洋で行った漁業資源の調査によると、
第二次世界大戦で漁が活発でなかった期間は、漁業資源がむしろ減っていたらしいです。
理由は、(当時は?今も?)人間が漁を行うと間違って漁師が鮫を網にかけてしまうらしく、
戦争中、適度に間引きされていた(生態系の上位生物である)鮫の食う量が増えたために漁業資源がむしろ減ったと。
個人的に読んでいて面白かったのは、生態系の上位生物と下位生物が同じ割合だけ間引きされても、
繁殖力においては下位>上位なので、個体数においては下位生物のほうが先に恩恵を受けるという点です。
先に下位生物の個体数が環境限界に達し(この時点で下位生物の個体数が増えすぎ)、
次に、上位生物が下位生物の食べて個体数を増し(上位生物が若干増え気味に)
個体数の上下を繰り返しながら、生態系の均衡に達すると。
人間から見て漁業資源をMAXにするには、上位生物を(若干減らし気味に)生かさず殺さず適切な数に保つことなんでしょうね。
Re:(増えすぎた)鯨を間引きしないと、どうにもならない気が (スコア:2, すばらしい洞察)
つまり人間を(以下略
鮪とか (スコア:4, 興味深い)
知らないうちに鮪(マグロ)が漁獲制限で輸入できなくなってたりするんですよね。
鯨(クジラ)なんかは逆に増えすぎて大変なことになっているようです。
あれも絶滅しかかってたのは昔の話だからなぁ。
彼らが食べる食糧もバカにならなくて、結構海を荒しているらしい。
Re:鮪とか (スコア:5, 興味深い)
今増えている証拠が最もたくさん上げられているのはミンククジラ。
シロナガスクジラ等は今現在でも安全なレベルとはいえないでしょう。
ただし、Worm博士やMyers博士の解析は多くの水産学者から反論が(Nature誌上でも)なされており、通常の統計学的手法から考えても疑問点が残る解析だと言えます。
また、水産業を養殖に切り替えるというのは、本当に極一部の魚種でだけ可能な話しであり、現実的な対策とはなら無いでしょう。
地味ながら海上全体の汚染を抑え、不確実性に対応した形での漁獲管理以外に水産業の未来はありません。
そして、そういった水産資源管理は夢物語ではなく、沿岸漁業においてはノルウェーで成功例もあります。
補助金付けの日本の水産業を何とかするためには、それこそ大規模な手術が必要ですが、いまやら無いと手遅れになると言う点だけは、Worm博士の言っていることも間違っていないでしょう。
Re:鮪とか (スコア:5, 興味深い)
刺身の定番の1つ、鮪は養殖に専念すれば供給のコントロールも可能だと思います。
配合飼料・投薬なしでの養殖というのもポイントでしょう。
TVで紹介されていたときは寿司屋の大将が下手な安い鮪よりも養殖鮪のほうが脂が乗っていて旨い
というコメントをしていたので印象深く感じました。
いいマグロを量産できるならコストも落ちるでしょうし、むしろ輸出国になるかも…?
Re:鮪とか (スコア:3, すばらしい洞察)
われわれ人間達が観測者となっている時点で、
人間の手の入っていない本来の自然界が、どのように変化していくことが
理想系なのかというのは、人間の都合のいいようにしか語られることはないですよね。
漁業者には新鮮な魚を捕ることより、新鮮な魚を育てることを考えてほしいなぁ。
# 結局のところ自分達が食べたいものが増えてくれたほうがいいわけですが…
# 個人的には焼きサーモンを量産願います。
Re:鮪とか (スコア:2, すばらしい洞察)
もちろん他の魚類や海洋哺乳類もね。
川や湖沼など淡水系でも同様のことが言えると思います。
ほんの二、三十年前はたくさん水棲昆虫がいましたよね。
深刻なのは海だけじゃないと思いますよ。
そう考えると鯨の個体数を減らして何とかしようとするより
人類の行動を見直すほうがはるかに論理的なのではないかと思います。
自然は安定か? (スコア:4, すばらしい洞察)
人間が生まれる以前にも腐る程の数の種が絶滅してきたことを考えれば、その前提は必ずしも真でないと思われるのですが。
Re:鮪とか (スコア:2, 興味深い)
中国人がマグロを食わないからだ、というジョークがあります。
実はこれは半分ジョークではなくて、好んで遠洋で魚を大量捕獲して
食するほど文明化、中産階級化してない人が地球上にはまだたくさん
いるから、魚はまだ枯渇してないんです。
地球環境の維持のためには、これ以上人民を中産階級に引き上げては
なりません。かわいそうな人々には、かわいそうなままでいてもらうこと
だけが、我々の未来を明るくします。
Re:鮪とか (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:鮪とか (スコア:2, すばらしい洞察)
# 言ってみたい…
"高い知能"ってのはどこからなのかってのが非常に気になる。
やっぱり"人間基準"なのかなぁ。
Re:鮪とか (スコア:1, 興味深い)
人間がクジラを捕獲することがなかった数千年前までは、海は荒れていたのでしょうか。
Re:鮪とか (スコア:5, 参考になる)
増え過ぎたのは、主に欧米による極端な乱獲が原因で大型鯨類が絶滅に瀕
する程激減してしまったことと無関係ではないのです。増え過ぎている小
型鯨類と生息域や餌が重なるシロナガスクジラの個体数は増えていません。
極端に増え過ぎた小型鯨類が海を荒らしているのは、人間の活動が原因な
という訳になりますね。小型鯨類の大型化には化学物質と温暖化が影響し
ているとも言われています。
Re:鮪とか (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:鮪とか (スコア:1, すばらしい洞察)
人間が鯨を捕獲することが無かったと同時に、人間による遠洋漁業も無かったので
バランスが保たれていたのでは無いでしょうか。
Re:鮪とか (スコア:5, すばらしい洞察)
犯人(人間・鯨etc)を探し出して、それを責めれば済む話ではない。
三年間の禁猟(注:PDFファイル) [biodic.go.jp]の結果、資源が回復し始めた秋田のハタハタの例もありますが、
禁漁期間に漁民が苦しみを甘受したことを忘れてはいけないのです。
そして、ハタハタは戻ったものの、それによって均衡点がズレて行った(ハタハタが増えた)ことにより、
他の何かが影響を受けているかもしれない、という別の視点と想像力も大切。
リソースが無制限ではないことを知ってしまった以上、皆が少しずつ痛みを分かち合い、
可能な限り高次元でバランスを取ってゆくことが必要ではないかと。
人智には限りあるものの、想像力を働かせながら高次元のバランスを模索するのかないのだぁ、と。
そして、そういった中、「ぬけがけ」をしながら、アンフェアな狼藉を働くものに対しては、
そのものに対して致命的な社会的制裁が必須。
でなければ、「痛みを分かち合う」なんて事やってられない。
Re:鮪とか (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:鮪とか (スコア:2, すばらしい洞察)
自然にとって"害"とはなんぞや? (スコア:2, すばらしい洞察)
資源を食いつくしたり,環境を自ら悪化させたりして滅亡する生物なんて,これまで山のようにいましたから。
つまり、メタに見れば、人間の周辺の生物がいくら絶滅しようが,人間自身が滅亡しようが,生態系にとっては問題でもなんでもないわけです。
刺身? (スコア:4, すばらしい洞察)
「魚を食べられなくなる」なら分かるんですけど…
このストーリーがなぜ「刺身」に限定しているのか、
どうしても本文から読み取れませんでした。
# なまもの嫌いなAC
Re:刺身? (スコア:5, おもしろおかしい)
Re:刺身? (スコア:1, おもしろおかしい)
「2048年、刺身が食べられなくて、さしみい」
になってるんだよね。そこまで推したいのかとw
Re:刺身? (スコア:1)
刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:3, 興味深い)
すばらしい洞察 +1
http://www.japanjournals.com/dailynews/061103/news061103_3.html [japanjournals.com]
最後の文には救われる?
Re:刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:4, すばらしい洞察)
Re:刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:3, 参考になる)
つ磯焼け [ies.or.jp]
Re:刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:2, 参考になる)
稚魚を食すのは資源保護の点ではやっちゃいけないんだろうなぁ…
Re:刺身の前に魚肉ソーセージが食べられなくなるらしい (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:刺身? (スコア:3, おもしろおかしい)
という言葉が頭から離れません。
いや、関係ない事なのは良くわかっていますよ。
でも、「揚げ」->「てんぷら」->「海産物」の思考が
指向性を持って嗜好性を刺激するのです。
あぁ、自分でも何がなんだか解らなくなって来ました。
# 飯食ったばかりなのに落ち着け、俺!
要するに肉の宣伝でしょ? (スコア:3, 興味深い)
このレポートに関してもかなり意図的な物がある。
食える食えないよりも (スコア:2, 興味深い)
脅威だとおもうんだが
BBCの記事 (スコア:2, 参考になる)
大丈夫! (スコア:2, すばらしい洞察)
温暖化による (スコア:2)
Google News他 (スコア:1)
asahi.comでは海産物 [asahi.com]
要するにアレですか… (スコア:1, フレームのもと)
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
実は (スコア:1)
その養殖が、海を汚染してるって面もある。
Re:悪いのは (スコア:3, 参考になる)
Re:悪いのは (スコア:3, 参考になる)
Re:悪いのは (スコア:4, すばらしい洞察)
Re:悪いのは (スコア:2, すばらしい洞察)
別に食わなきゃダメって訳でも無かろうに。
食えても食えなくても、釣りの為に本来居ないはずの魚を放流するのは
生態系を崩すことになるのでだめだと思うな。うん。
Re:大丈夫 (スコア:4, 興味深い)
産学官一体で、さらなる水産資源の発掘や養殖の研究に励んでほしいものですね。
しかし遺伝子組換作物が嫌悪されてる日本では「3倍体プロジェクト」は難しいかも?
寿司で出す場合は花粉症緩和米 [yahoo.co.jp]とのコンボなら・・・ダメかな、やっぱり。
匠気だけでは商機なく、正気なだけでは勝機なし。
Re:大丈夫 (スコア:2, 参考になる)
味蕾と嗅覚神経を刺激し、これで何を食っても美味しい食事が可能。
「む、なんだ!! マグロを食っているはずだが....なんだ?この耐えられない感覚は」
「あ、すみませ~ん、投入するデータ間違えました...」
「何のデータだ?!! 耐えられんぞ!!」
「あの....く、"くさや"でした」
Re:ふと思った (スコア:2, 参考になる)
アメリカ産のオレンジはいくら叩いても中国産の野菜は華麗にスルーしてますが何か。
Re:海を増やそう (スコア:3, おもしろおかしい)
そのうち太陽に近づいた地球は、適度に海が蒸発し、陸が生まれました。
そのうち魚達はこう思います。陸に上がってみたいなぁ。
こうして両生類が生まれ……。 あれ?
# まあ最終的には、全ての上位に立つ(でろう)太陽様の胃袋に納まるのだが。
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投稿処理前プレビュー確認後書込処理検証処理前反映可否確認処理後……
Re:汚染 (スコア:2)
そうなる前に魚介類を石油から合成できるようになるので安心です。(あれ?
廃棄よりも前に (スコア:2, 参考になる)
スーパーなどが勝手に魚の大きさを規格化してるのを撤廃すべき。規格に入っているか、いないかで価格に大きな差が生まれ、コスト(漁船の燃料費とかね)に見合う価格が付かないため廃棄される海産物が多いらしい。
# 多分海産物だけじゃないけど。
先日NHKのニュースでやってたんだけど、1次ソースが見つからない。この辺 [think-nagasaki.or.jp]にちらっと載ってますが。
Re:30年前から (スコア:2, 参考になる)
底なしのビールジョッキ [cruel.org]
---- 末は社長か懲戒免職 なかむらまさよし