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テクノロジー

フィルムの生産減少で記録写真の危機 137

ストーリー by hylom
保存については策は色々とありますが、 部門より

Technobose 曰く、

サンケイニュースによると、写真フィルムの生産減少により考古学の現場で記録写撮影ができない危機に瀕しているとのこと。保存性や緻密な描写力などが要求されるため、使えるフィルムが限られていることが直接の原因のようだ。

かといってデジタルにすると、メディアの破損などで、画像データ全てが消失する危険性もあり、移行をためらってるようである。そういえばデジカメが普及し始めて、そろそろ十年ぐらいだし、家庭で撮った写真も消えてなくなっているという騒ぎが起きるのも、そろそろではないかとも思う。

個人的には、写真フィルムは褪色という問題があるが、温度や湿度に注意して保存すれば、カラーネガでも結構な期間保存できるし、フィルムが物理的に保存されていれば、まったく見られなくなることもないため、マスターの保存としては最適なメディアだと思う。仮に褪色していても、プリントする際に補正することで元に近い色を再現することもできる。

デジタル・メディアの難点は、保存さてれいる画像をデータとして管理するため、ちょっとした情報消失の影響範囲が大きいこと、メディアと情報が切り離されているため、保存状態を簡単に確かめることができないこと、簡単に編集できるため真正であることを担保しにくいことではないか。

そろそろデジタルとフィルムの良さを使い分けていく、という流れにしてもいいと思うのだが、いかがだろうか。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by QwertyZZZ (8195) on 2009年07月27日 15時04分 (#1612353) 日記

    ここはフィルム・プリントの右上に「アナログ」若しくは「銀塩」と入れることを各国政府主導で行わせて見れば?

  • 面白いー (スコア:2, 興味深い)

    by hohehohe (11394) on 2009年07月27日 14時59分 (#1612346)
    考古学者ならではの考えなんでしょうねー。できれば数千年記録しておきたいとか考えてるんじゃないかな。
    バックアップもいつ何が起こって廃れるかわからないし、どれほど記録が消失しやすいかや、一度記録が消失したら
    二度と戻らないことを身をもって知ってるんでしょう。
    --
    AVG anti-virus data base out of date
  • by Anonymous Coward on 2009年07月27日 21時07分 (#1612645)
    カラーフィルムには、あらかじめ色素が入っている内式と、現像時に色素を外から入れる外式があるんですが、耐久性の高い色素を使用できる外式でないと、長期保存に向きません。ところが、唯一の外式フィルムであったコダックのコダクロームは既に生産中止になってしまいました。だから、もう長期保存可能なカラーフィルムで撮影することは不可能なんです。
  •  ふと思ったのだけど、カメラ自体に携帯電話通信網による通信機能を持たせて、撮影メタデータと画像ファイルのMD5情報とかを取った瞬間にサーバに送信して、撮った写真にもデジタル証明書を埋め込む機能を追加した証拠写真専用のデジカメとかどうだろう。

     一般家庭では不要だろうけど、警察や研究機関では重宝されそうな気がする。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
  • by inoua (33235) on 2009年07月27日 13時49分 (#1612264) 日記

    http://www.um.u-tokyo.ac.jp/digital/dr.html [u-tokyo.ac.jp](東京大学総合研究博物館)

  • >「(電子データではなく)写真なら150年以上保存できることは歴史が証明している」

    デジタルで撮影したものを印刷するのは駄目なの?

    >「デジタルは万能に見えても、数十年後に画像を再現できる保証はない」

    絶滅を危惧する記事なのに、フィルムだと数十年後に画像を再現できる保証があるの?

    • てか、複数(世代、メディア)バックアップではいけないのだろうか?

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2009年07月27日 15時31分 (#1612374)
      >>「(電子データではなく)写真なら150年以上保存できることは歴史が証明している」

      これは「150年前の技術で記録された写真が150年間保存できた」ことを証明しているだけであって、現在の技術で撮影、現像、印画される写真がこれから150年間保存できることを証明しているわけではありません。

      実際問題として、化学的に安定的な銀を残すことで画像を記録する過去の写真技術に対し、現在主流であるカラー写真は退色しやすい色素のみを残す方式になっています。だから大昔のモノクロ写真は残っていても、カラーが主流になって以降の写真は退色よりあっさり失われてしまっていることも少なくない。日のあたる場所においてあった写真など「真っ白で何も見えない」写真を見たことがある人は多いのでは?
      要するに現在のカラー写真は、すでに「放っておいても100年画像が残る」なんていう銀塩写真のメリットなんてとっくの昔に放棄してしまっているんですよ。(そういえば昔、100年プリント、なんてのがあったなぁ..)

      もちろん、保存性を重視したいがためにあえてモノクロを使うとか、カラー写真は使うが、保存時に(コストをかけて)細心の注意を払って保存する、という手段はあります。しかしそもそもモノクロは撮影時点から色情報は欠落するわけですし、コストをかけてカラーフィルムを保管するなら、デジタルデータを保存するのも同じこと。
      さらに加えていえば、デジタルで撮影するとともに、保存性の高い顔料インクを使って、これまた保存性の高い中性紙に対して印刷しておけば、現状のカラーフィルムよりよほど長持ちします。いったんデジタルデータになってしまえば、揮発性の高い記録方式から保存性の高い記録方式までさまざまな形に変換できるのがデジタルのメリットなのですから。少なくとも「保存性」という視点に限れば、「だからフィルムを残そう」というのはナンセンスな気がします。
      親コメント
      • 博物館や美術館などでは資料を保管するために、温度や湿度を調整した専用の保管庫を準備して
        おり、保管技術は十分実用的なレベルになっています。
        写真やフィルムは、専用の保管庫にしまえば良いだけと、デジタルの場合、その上、再生技術の
        確保やらが必要になってきます。
        また複製をし続けて残せばいいというのは、それにかかるコストや体制などを考えれば、それを
        目的にした体制を準備できる規模の組織しかできないでしょうね。
        多くの美術館や博物館、自治体の文化財担当部署では、電子情報の保存は厳しいでしょう。
        いっそのこと、国がそういう機関向けのデジタル・アーカイブ機関を準備する必要があるかも。


        そもそもフィルムを日当たりのいいところにおく、というのが間違い。
        それをいったらCD-RやDVD-Rなんか、一週間たたないうちに読めなくなる。
        親コメント
        • by OYO (9891) on 2009年07月28日 0時34分 (#1612751) 日記

          19世紀中盤から大量に使われた酸性紙は20世紀中盤に紙が崩れる問題が発覚し大問題となりました。
          http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E6%80%A7%E7%B4%99 [wikipedia.org]

          20世紀中盤からマイクロフィルムや写真フィルムの基材として主流で使われたTACベースのフィルムは
          加水分解によるビネガーシンドロームにより急速劣化することが判明し大問題となっています。
          http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%83%95%E3%82%A3%E3%8... [wikipedia.org]
          金のない市町村レベルの図書館や資料館はフィルムを通気の良い段ボールに入れるが温湿度管理はせずそのまま放置、予算があるところはPETベースのマイクロフィルムへコピー、潤沢な予算がある県立美術館や東京国立近代美術館クラスは元フィルムは通気性の良い冷暗所で保存しつつスキャナでデジタル化もしている。ということを市立図書館の方から聞いたことがあります。
          ビネガーシンドローム初期ではフィルムから酢酸臭がし、進行するとフィルムがカールし、最後には溶けて復元不可能になるそうな。

          私は温度制御は金額的に無理なので富士フイルム製のキープウェルという調湿、ガス吸着剤を使用しフィルムを保管しています。
          http://fujifilm.jp/business/broadcastcinema/mpfilm/related/keepwell/fe... [fujifilm.jp]

          酸性紙もビネガーシンドロームも今となっては原因がわかっていますが使用初期は長く保存できる物だと思われていたと言う点がポイント。LDの酸化等も後から発覚した問題ですね。
          こういった事象がその業界の人達には周知の問題となっていますが一般人には未だに知れ渡っていないんですよね。

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        • Re:保存の容易さが違う (スコア:2, すばらしい洞察)

          by tomone (15592) on 2009年07月27日 23時06分 (#1612709) ホームページ

          >温度や湿度を調整した専用の保管庫を準備しており

          >複製をし続けて残せばいいというのは、
          >それにかかるコストや体制などを考えれば

          保管庫の確保や運用も相当金が掛かると思うんですが、
          それの予算は簡単に出でも、コピーするコストは難しいってのは
          腑に落ちません。

          --
          TomOne
          親コメント
          • by Technobose (6861) on 2009年07月27日 23時21分 (#1612718) 日記
            正規の博物館や美術館などでは、すでに保管庫がある。基本的にフィルムとか現物の資料なんかは
            こういう設備ですでに保存されている。
            電子化した情報まで保管ということになると、バックアップ用のメディアを保管庫で保管し、さらに
            研究用にサーバでも管理するとかっていったら、空調付のサーバルームと、それ相応のIT設備一式が
            必要になる。
            あ、利用するたび、保管用メディアを保管庫から取り出せばいい、なんていうのは非現実的。フィルム
            みたいに気軽に内容を確認できるものなら、保管庫にこもって探すこともできるけど、CD-Rとかテープ
            なんていうのは、そういう探し方はできない。

            それとIT業界の人と話をしていて感じるのは、「IT利用が当然」みたいな発想ですね。
            普通の組織では、IT利用でコスト削減なんて、まじめに考えているのは少数派です。
            まあユーザー側がふがいないというのも原因かもしれないけど、ITに興味の無い人間にメリット・デメリット
            を説明して、なぜ必要なのかを実感させるのは至難の業だよ。
            特に文化関係なんて予算は限られているし、よほど理解のあるところでないと組織も予算も整備はできないと思います。
            で、博物館みたいな機関では、フィルムみたいな具体的な物がある場合、それを保管する必要があるというのは、他の
            遺物みたいな資料と同じで、保管する必要性は比較的理解されやすいでしょう。
            要は、その組織本来のミッションに必要されているか否かという基準では、IT関係予算は認められにくいということ。
            時代が変わって、そういう機関同士で情報共有を進めるのが一般的になれば、予算もつき始めるかもしれない。
            それでも「具体的な物」と比較して、重要性を認められるには、幾多の困難がありそうだけど。
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    • >絶滅を危惧する記事なのに、フィルムだと数十年後に画像を再現できる保証があるの?

      例え電気や科学技術が失われても、お日様にすかして見れば内容を確認できうる、ぐらいの意味なら。

      そうまでして考古学を続けるのかという気もするけど、考古学なら意外とそうまでしてでも続きそうな気もする。
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    • by exnn (38082) on 2009年07月27日 14時17分 (#1612295)
      文中での「写真」が何を示してるのかイマイチよくわからない記事ですよねぇ・・・ フィルムの話と印刷物の話をごっちゃにしないで欲しい感じです。
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  • by Anonymous Coward on 2009年07月27日 15時50分 (#1612388)

    さまざまな理由で読めなくなってしまったデジタルデータを復活させるのが主な手法になったりしてね。磁気記録の復旧からデータのフォーマット解析、暗号解読、データを再生するための古いソフトウェアを稼働させるためのOSや仮想機械の整備などなど。

  • 前提条件 (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2009年07月27日 16時28分 (#1612420)

    この場合に重要なのはデータ(メディア)の保存性ではなく、
    むしろ現場保存というニュアンスの保存性の方ではないでしょうか。
    そういう点においては単純にデジカメに置き換えられない、というのも良くわかります。

    >緻密な描写力などが要求されるため、使えるフィルムが限られている
    という事から、ここで必要とされているフィルムは低感度の(粒状性の低い)大判のフィルムだと思われます。
    こういったフィルムの濃度域の広さは半端ではなく、
    肉眼では何が写っているか判別不可能な暗部も
    プリントorSCANの腕次第でしっかりと再現する事が出来ます。

    デジカメでこれと比べられる情報量を持つデータと言えば
    最高級機の最大解像度のRAWデータ、と言ったところでしょうか。
    (そんなデータでも暗部の再現は?)
    無論非可逆圧縮など論外です。

    こういう前提条件だと、保管コストの問題とか、また変わりますよね。

    • by nmaeda (5111) on 2009年07月28日 9時55分 (#1612853)

      > こういったフィルムの濃度域の広さは半端ではなく、
      > 肉眼では何が写っているか判別不可能な暗部も
      > プリントorSCANの腕次第でしっかりと再現する事が出来ます。

      何か勘違いがあるんじゃないですか?
      最近のデジカメだと、一眼とかじゃなくても、僅かの明かりで普通に撮影できますよね?
      もちろん、肉眼じゃロクに何も見えません。

      安物の家庭用インクジェットプリンタでプリントして、グラデーションの再現が不足だと
      いっても仕方がありませんよ。あれはフィルム時代にサービスサイズ(E判,L判)のプリントで
      満足できていた方のためにあるんです。

      > デジカメでこれと比べられる情報量を持つデータと言えば
      > 最高級機の最大解像度のRAWデータ、と言ったところでしょうか。

      さすがにその程度の予算は貧乏研究者にもあるでしょう。

      親コメント
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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