引退したYS-11が次世代機開発のために輪切りに 69
ストーリー by yosuke
おが 部門より
おが 部門より
AcDcPwr 曰く、
国内では2006年9月30日に引退した、第二次世界大戦後生産された唯一の国産旅客機YS-11が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて輪切りに解剖されて、次世代国産旅客機開発のために解析されているそうです(JAXA APGニュース、JAXAプレスリリース、JALプレスリリース)。
引退後も、解剖されて次世代機の開発に生かされるとは飛行機冥利(?)に尽きるというものではないでしょうか。解析データが次世代機に生かされる事を願いつつ、33年間日本の空をとんだYS-11の冥福を祈りましょう。
それにしても航空機の耐久年数は20年程度と言われるのに、飛行時間33年間で57,000時間とはYS-11は丈夫な飛行機だったという事が良くわかりますね。
飛行機の輪切りは (スコア:3, おもしろおかしい)
Re:飛行機の輪切りは (スコア:3, おもしろおかしい)
丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, 参考になる)
耐用年数までは決して壊れないけど耐用年数を過ぎたらすぐガタがくる、それが理想的な設計
Re:安全係数 (スコア:5, 興味深い)
飛行機は自重で飛べなくなるというのは
業界の酒席でネタになる話題です。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:3, すばらしい洞察)
YS-11は赤字がひどくなって製産終了に追い込まれましたが、
その原因を《丈夫に作りすぎた》せいだけに押しつけるのは酷というものです。
事故履歴 [wikipedia.org]をみると胴体着陸も何度か起きてますから、
消費者からすれば丈夫すぎて無駄ということはありません。
経営的に安全性と採算性の落とし所をどうするかと言う話でしょう。
# まあ、YS-11はそれができないから製産終了したんだし、
# そのツケを血税で賄ったのも事実ですけどね。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, すばらしい洞察)
故障すれば人命にかかわるような乗り物で、そんな危なっかしい耐用年数の設定の仕方
するわけ無いでしょう。
家電やパソコンなんかと一緒にしないように。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, 参考になる)
という意味なら、私は元レスの言うとおりだと思いますが。
それに、経年疲労するところは、定期交換することを前提にして
軽く(時間寿命を短く)作ってしまう、という手もあります。
(もちろん、事故時のとかの強度は基準を満たして、ということですよ。念のため。)
そういうところも一種の「ノウハウ」な訳で。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, すばらしい洞察)
重たい=安全 は別物だし。
YS-11は元々旧軍の設計基準でつくったため、民間航空機の設計基準と比べてコスト無視、安全最重視の設計をしていたみたいです。だから民間航空機と比べてとんでもなく永く空を飛んでいたのでは?
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
"Patriotism is the last refuge of a scoundrel." - Samuel Johnson
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, 参考になる)
ボーイング 707 のバレルロールなんてその最たるものだろうし。
もちろんその後の検査技術、整備修復技術の進歩にともない、
無駄なマージンを活用する寿命延長プログラムも積極的に組まれてますよ。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
大事に使う事が前提の商用機を並べられても...
notice : I ignore an anonymous contribution.
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, 参考になる)
ふつう、航空機って軍用のもののほうが高寿命ですが、民間機もそれに劣るものではありません。ただ、競争の激しい表に出てくるような国際航空会社の花形路線などでは常に新型に置き換わっているだけです。
もっというと、輸送機や爆撃機、哨戒機のたぐいと同じ規模の民間機とはそれほど構造的に差はありません。
#航空機で使われる規格でMS規格(米国軍事規格)とNAS(国際航空宇宙規格)の両方があって、お互いに補完関係にあったりする。
#そんなに違いはないよ。たとえばボーイングの購買仕様書は民間機だろうとMSは使われるし。そんなわけでそれほど違いはない。
#軍用機にいったいどんな特別仕様を期待しているのかは知らないが……。
今作っている飛行機も、最低40年はオーバーホールの体制を整えておくための計画をたてて設計されます。別に特異な例とは思えませんな。
#少なくをも私は壊されることを前提に設計などしていない。
#有事のとき、少しでも生存性を上げるための工夫はたくさんしているが。これは民間機の時でも同じ。
#中の人なのでAC
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
飛ぶという機能を保持している期間なら、爆撃機の方が長くなるでしょう。
非常に乱暴な言い方をすると『爆撃機は「機体のアルミが厚め」なので(材料の劣化の度合いが同程度ならば)強化された分だけ寿命に余裕がある』です。
(ましてB52は核爆弾投下用。それなりの機体強度をもっている筈)
・輸送機・哨戒機は民間用の機体をそのまま使っているので寿命も同じ。
notice : I ignore an anonymous contribution.
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:3, 参考になる)
軍用品が高寿命なのは、オーバーホールの体制ができあがっているからです。決して、使われないからとかそういった理由からではありません。(使われないなどといっている人って、軍用機の有事を想定した運用の厳しさを知っているのだろうか……)
#陸上のものならばむやみやたらに丈夫に作ってあるものも中にはありますが……
#民生品ならばふつうに樹脂でつくるものを、むやみにアルミ合金で作ってあったりとか…
#一部の陸上用ならば多少重くても「丈夫で長持ち確実に動く」ということが優先されるので。価格は厳しいですが。
今でもふつうに数十年前のものでも手順書や図面が確実に保管されており、オーバーホールなどを請け負って行っています。また、故障した場合なども、国家的なレベルで部品の確保が行われているため、高寿命なのです。もちろん、アップデート(近代化)なども行われているのですが。
ここら辺はこの産業の構造的な関係もあります。基本的に防衛産業は、少量多品種の部品によって作られるオーダーメイドです。しかし、非常に高い品質が求められ、柔軟な特別仕様も求められます。たいていのメーカーはそれだけでは食っていけません。それを保護し、戦略的に作り上げられたネットワークで「将来にわたって確実に仕事を依頼し維持していく」という指針が国家レベルであって初めて維持しているシステムなのです。
#ここら辺がわからずに「軍用分野ではぼろもうけなんだろ」などと言う方々がいますが……。 技術開発を伴う分野なんて真っ赤っかです。
ここら辺を民生品で維持しようと思ったら、航空機のような分野でしか不可能なのでこうなっているのです。航空機分野も今かなり民間になってきていますが、未だにほとんどは国家的戦略のもとで行われている産業と言っていいでしょう。また、航空機の産業構造的には飛行機を売るときはある程度採算を度外視し、その後のアフターサービスでもうけを得る、ということも行われています。これは軍用品だろうが民生品だろうがよくあることです。
ちなみに、こう書いていますがやはり軍用機のほうが民間機よりも古いものが飛んでいるのはなぜか。それは単純。法律的に軍用の分野は一般的に別扱いされるからです。民間機には適用される安全基準が、軍用機には適応されなかったりしますから。もちろん、損益分岐点が民間機と軍用機では違うという点も大きいですが。機械の寿命と製品の寿命と商品としての寿命はそれぞれ違います。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
YS-11 の場合は,旅客機・輸送機といったあたりの「運用」だったこともあるでしょうが,一部で「STOL性」とか言われたわりには,相対的に非力なエンジンしか持たなかったことで「厳しい飛行」が少なかったのではないかとも思ったりします。
# DC-3 とどっちが「丈夫」?
"Patriotism is the last refuge of a scoundrel." - Samuel Johnson
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:0)
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:2, 参考になる)
民間機は1日に5回も6回も離着陸を繰り返しますが、
軍用機は非常時以外は数日に1回くらいしか飛ばないんで。(特にアメリカ軍の機体。)
ということで、並みの民間の767とかよりも圧倒的に「新しい」707(正確にはKC135)
とかが大量にあるので、エンジン換えたり2マン化したり、といった話になります。
民間だと、最近はさすがにアフリカの航空会社とかですら、707は賞味期間切れ気味です。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1, おもしろおかしい)
#「NASA開発の新素材」みたいな感じだな…
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:0)
初陣で撃墜される率を考えると平均寿命は案外短いかも。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
所謂"ソニータイマー"というやつは理想的な設計なんすかね…?
# 噂だと思ってますけど
まぁ、確かにレースカーとかではそういう話はよく聞きますね。
でもあくまでそれは
「無駄を削って、その分性能を上げる」というのが前提にあると思います。
#だから何、ってことはないんですけど一応…
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1, 興味深い)
飛行機の場合、重量を削ればその分だけ客や貨物を載せられるようになるので、
重量の軽減はそのままエアラインにとっての収益増になります。
一方で重量を削ると構造の寿命が短くなり、耐用年数が減ってしまいます。
もちろん削りすぎて耐用年数が極端に短くなっては元も子もありませんが、
丈夫で長持ちだけど経済性の悪い飛行機というのも、
エアラインにとって望ましい機体ではありません。
エアラインにとっての収益が最大となる耐用年数をきっちり見積り、
ギリギリのところまで重量を削った飛行機が一番という意味では、
ソニータイマー (的な思想) は理想的です。
# あらゆる工業製品について同じことが言えますが、飛行機の場合は特に
# 重量と運用コストの相関が大きく、重量軽減への要求がシビアになります。
YS-11の場合は、胴体着陸しても修理して使えるなんて頑丈さは
エアラインから見れば過剰だったと思いますが、どこをどこまで
削っていいかというのもノウハウですから、初めて作るときには
設計を安全側に振ってしまうのも仕方のないことでしょう。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
ソニータイマーですか・・・
ちょっと違う・・・
Minder
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:0)
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
なるほど、そういう考え方もあるのだなあ、と納得した。
Re:丈夫すぎる飛行機 (スコア:1)
「その寿命でその値段だけどSONYだから買う」
という層も、一定数は居るだろう。
戦闘機開発の為に (スコア:1)
Re:戦闘機開発の為に (スコア:1)
# アメリカにナイショにできればね。
Re:戦闘機開発の為に (スコア:1, 興味深い)
民間航空機の場合、レーダーは汎用品で代用が利き、火器管制プログラムは不要。
Re:戦闘機開発の為に (スコア:4, 参考になる)
あと、フライバイワイヤが当たり前の現代の戦闘機は飛行制御システムも重要。なにせバグ=墜落だから。
ちなみにF-2開発の時、アメリカはF-16の飛行制御システムの中枢は開示しませんでした(結局、T-2 CCVなどの研究成果を元にほとんど独自開発)。F-16ベースの共同開発をゴリ押ししたのは向こうなんですがね。
# これが「同盟」の実態。
Re:戦闘機開発の為に (スコア:0)
「ジャイアン」と「スネ夫」の関係と言えば、みんなには分かりやすいかな?
# 時々「心の友」になったりもするし。
# しかし、のび太としずちゃんはドコなんだ?
(まちがい: +1) (スコア:1)
"Patriotism is the last refuge of a scoundrel." - Samuel Johnson
Re:戦闘機開発の為に (おふとぴっく) (スコア:1)
「同盟」のおかげで軽武装で済んできた,という従来からの論には一理あると思いますが,「同盟」の下請けをやっているコストもあれば,「同盟」故に選択 (指針・戦略) が無くなっているところもあるので,コトはそう単純ではないでしょうね。
# しかし,「同盟」と呼称されるようになったのは…。
"Patriotism is the last refuge of a scoundrel." - Samuel Johnson
タダの空飛ぶ飛行機。 (スコア:0)
Re:戦闘機開発の為に (スコア:0)
Re:戦闘機開発の為に (スコア:1)
# 車に風呂を付けて、走行中入浴しながら陽気に笑っているアメリカ人の写真を探したが見つからなかったw
Re:戦闘機開発の為に (スコア:2, おもしろおかしい)
#飛ぶのはないのか?
ラストフライトしたのは8788ではない (スコア:1, 参考になる)
HondaJet は? (スコア:1)
ちょっと前に話題になった HondaJet って国産旅客機だよね?
Re:HondaJet は? (スコア:2)
>ちょっと前に話題になった HondaJet って国産旅客機だよね?
まだ開発中なので生産されていませんね。
Re:HondaJet は? (スコア:2, 参考になる)
のことも、たまには思い出してあげてください。
MH2000も思い出してあげてください (スコア:3, 興味深い)
MH2000も 輪切りYS-11落下衝撃試験 [apg.jaxa.jp] と同様に MH2000全機落下衝撃試験 [apg.jaxa.jp] を行っていますが,MH2000の生産数は大変少ないので(10機は作っていないはず)1機まるまるつぶすというのは大変なことです。
生産数が少ないためJAXA所有機以外で飛行中のMH2000を見ることは難しいという意味で「忘れられた航空機」なのかもしれませんが…。
Re:HondaJet は? (スコア:0)
まあ、例えば日本でも調布大島にはアイランダーなんかが飛んでいるんで、ローカルなコミューターラインなんかは、思っても無いものが「旅客機」として飛んでたりするんだけど。
Re:HondaJet は? (スコア:0)
確かにあれで旅客運送営むことも不可能ではないだろうけど。
長い実証試験 (スコア:1)
#早くMJが飛ぶといいなあ。
飛行機ネタ繋がりで... (スコア:1)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061117-00000013-fsi-bus_all [yahoo.co.jp]
Re:飛行機ネタ繋がりで... (スコア:1)
そんな形の与圧区画をどうやって作るのかがまず難題だし、翼の上の、しかもあんな後方にエンジン置いたんじゃ効率悪いし、
それよりなにより窓のない客室に半日以上閉じ込められる旅客機ってどうよ。
Re:飛行機ネタ繋がりで... (スコア:1)
しかも翼の中もただ縦横に隔壁立てて客室を置いているだけ。翼の構造と与圧区画が別物ならそれはそれで全翼機にするだけ無駄だし。
全翼機のというのは単に胴体も尾翼も要らないから素敵、って訳ではなくて、主翼が尾翼の役割も兼ねるから主翼としての効率は落ちるし、
同様に胴体の役割も兼ねるからやっぱり主翼としての効率が落ちるしと、利点欠点足したらプラスマイナスゼロくらい、という構成なんですよ。
YS-11 宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて輪切り (スコア:0)